台湾問題に詳しい小笠原欣幸・東京外国語大准教授が「台湾総統選を読み解く」と題して講演した。台湾を統治してきた「1強政党」としての国民党は、役割が終了、「3分の1」政党となる、と指摘した。

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2016年2月8日、台湾問題に詳しい小笠原欣幸・東京外国語大准教授が「台湾総統選を読み解く」と題して講演した。台湾を統治してきた「1強政党」としての国民党は、役割が終了、「3分の1」政党となる、と指摘。台湾社会で高まる「台湾アイデンティティー」を重視する民進党をはじめとする勢力が今後も多数の支持を獲得することになるとの見通しを示した。発言要旨は次の通り。

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今回選挙によって国会も民進党が過半数を制した。実質的には初めての政権交代と言える、歴史的な選挙となった。国民党は1強政党として戦後台湾を支配・統治してきた役割を終了、今後は「3分の1」政党となるだろう。役割が変化し、中国共産党の提携パートナーとして存続していくのではないか。台湾の政党政治の構造が変わっていく。

馬英九政権は2008年以降、台湾重視を強調しつつ、中国との関係改善を進める対中政策を進めてきた。これは台湾社会で高まる「台湾アイデンティティー」と大国化する中国との間で微妙なバランスを意識した路線だった。しかし「台湾化」を唱えたものの、習近平国家主席との駆け引きの果てに、「台湾化」も「中華民国擁護」も後退した。中国との経済関係を緊密化したにもかかわらず、向上しない台湾経済の現状も敗北の一因となった。

蔡英文・民進党政権の運営は経済も中台関係もいばらの道で、民衆から不満は必ず出るが、その受け皿は国民党ではなく、第3勢力の諸派勢力となろう。民進党は「台湾アイデンティティー」を味方につけている。蔡氏も馬氏と同様、「現状維持」と言っており、習氏も異論はないだろう。台湾を締め付ければ台湾の人々の嫌中感情が高まることになる。中国は台湾の民意を代表する民進党と対話せざるを得ない。(八牧浩行)