「なぜ岐阜県の小さな町が第7位なんだ?」とマネー専門家も首をかしげる統計結果が話題を呼んでいる。

「昨年、総務省が公開した『平成25年住宅・土地統計調査』がそれ。全国の市区町村別に世帯の年間収入階級(300万円未満、300万〜500万円未満、500万〜700万円未満、1千万円未満、1千万円以上の5区分)を公表。市区町村別に世帯収入1千万円以上が何パーセントいるかがわかるようになったんです」

そう話すのは、1千万円以上貯蓄のある家庭の分析などで定評のあるファイナンシャルプランナー(FP)・西山美紀さん(生活情報サイト・オールアバウト貯蓄ガイド)。

このランキングで驚きなのが、お金持ちが多いといわれる兵庫県芦屋市と肩を並べ、神奈川県鎌倉市を上回る全国第7位に岐阜県揖斐郡大野町が入っていること。東海エリアを中心にアクサ生命でFPとして活躍する牛田松雄さんは次のように語る。

「第7位の大野町だけでなく静岡県長泉町、愛知県田原市が12%超えで、全国第21位。首都圏と名古屋市周辺、芦屋市を除くと、ベスト25に入っているのはこの3市町だけですべてが中部地方。東海エリアには豊かな地域が点在しているということです」

なぜ、中部地方の小さな町にそんなにお金持ちが集まっているのか?

「豊臣秀吉が天下人になる立役者の1人で、質素をむねとし、聡明で堅実な人柄だったことで知られる竹中半兵衛の故郷ということは大野町が全国第7位ということと関係があると思います。長い時代を経ても気質は受け継がれているようで、収入が1千万円を超えてもおごらず倹約家が多いんです」

こう話すのは、大野町に隣接する大垣市生まれで、東京と大垣を行き来しながらFPとして活躍する伊藤亮太さん。

「また、大野町のバラ苗は以前、美智子妃殿下がいらっしゃってご覧になられたほど有名で、バラ苗農家はおしなべて非常に裕福。これも全国第7位になった理由の1つでしょう」

伊藤さんは岐阜県大野町、静岡県長泉町、愛知県田原市にお金持ちが集まる共通点をあらためてこう分析する。

【便利なわりに土地が安い】
「大野町は車社会では岐阜も大垣も近く便利なのに周辺より土地が安い。田原市は知多半島の先端で不便そうですが、じつは新幹線停車駅の豊橋市に隣接。また長泉町はやはり新幹線停車駅の三島市に隣接。三島から東京までは約50分。十分に通勤圏内なのに、首都圏と比べたら地価が安い。資産家はこうしたお得感に敏感で集まってくるので、高収入世帯の割合が高くなる」

【日本一の特産品や医療施設がある】
「大野町がバラなら、田原市は農家1戸あたりの農業産出額が日本一。菊とキャベツが有名です。また長泉町には日本全国から患者が集まる静岡がんセンターがあり、そこで働く医療関係者の多くが町に住む。こうしたことが世帯収入1千万円を超える下支えをしていると思います」

【住民福祉も充実】
「長泉町は町の財政が豊かで中学生までの子どもは医療費がタダ。大野町も保育施設の待機児童ゼロをずっと維持しています。田原市も含め、この3地域はなにより道路舗装が抜群にきれい。これもお金持ちが集まる条件ではないでしょうか」