カカオにはどんな成分が含まれる? shutterstock.com

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 いまさらだがチョコレートブームだ。中でも数年前から美と健康に良いと評判なのが、カカオの含有量が70%以上の「ハイカカオチョコレート」。美意識の高いモデルやタレントがハイカカオチョコレートの効果をブログやバラエティー番組で喧伝することで一躍人気商品に。

 しかし、本当にそんな効果のある食べ物なのか? 食べるだけでダイエットができ、健康にもなる?

 スイスの有名チョコレートブランド「リンツ」が、「エクセレンス70%カカオ」を中心に、ハイカカオのダークチョコレート群(70%、85%、90%、99%)を発売したのが1989年。これがハイカカオチョコレートの草分け的存在といわれる。

 最近は大手製菓メーカーなどもこぞって商品を作っているので、近所のスーパーやコンビニなどでもすぐに手に取ることが出来るようになった。『明治 チョコレート効果』(カカオ72%、カカオ86%、カカオ95%)、『森永 カレ・ド・ショコラ カカオ70』などの商品のパッケージを見る限りでは、「ちょっとビターなチョコ」程度のイメージだが、実際食べてみると、あまりにも苦くチョコレートとは程遠い別の食べ物と感じられる。

 チョコレートの語源は、メキシコインディオの「ショコラトール」、つまり「苦い水」であるというが、猛烈に納得させられる。

 この苦味こそが、カカオの主成分である「テオブロミン」。自然界にはほぼカカオにしか含まれていない。テオブロミンは血管や気管支を拡張し血流や代謝を高める働きや、利尿作用の促進や脂肪分解作用などによってダイエットにも効果があると言われている。

 他にも、カカオに多く含まれるポリフェノールによる動脈硬化の予防、肌の老化の原因となる活性酸素を取り除く効果もある。
 
 それだけではない。平成27年12月には株式会社明治と帝京大学の共同研究により、カカオ由来の新しい機能性成分「カカオプロテイン」の抽出に世界で初めて成功している。
 
 カカオプロテインは難消化性たんぱく質(レジスタントプロテイン)と呼ばれるたんぱく質。これは小腸で吸収されず大腸に届くため、腸内細菌の餌となり腸内フローラを変化させ、継続的に摂取することにより便通が改善されることが確認された。まさに、美と健康にうってつけの食材だ。

 では、ハイカカオチョコレートを毎日たくさん摂っていれば、肌もツヤツヤ、便通や血行もよく、ストレスにも負けない丈夫な美ボディが出来上がるのでは? と勘違いをしてはいけない。そんな万能食品であれば、とうの昔から誰もが毎日食べているはずではないか?
カカオには健康を害する成分も含まれる

 たしかに、テオブロミンには脂肪を分解する作用があり、さらにポリフェノールはそれを補助する役目を持っていて、ダイエットにさぞかし向きそうではある。ところがカカオ自体が実はかなり脂質の高い食品なのだ。

 ハイカカオチョコレートは、普通のチョコレートに比べ、1.2〜1.5倍の脂質が含まれ、カロリーも高くなっている。カカオプロテインの研究でも、便通の改善は認められたが、体重の減少の効果は確認できなかった。ダイエット効果もそれほどではないようだ。

 さらに、健康にすぐに害を及ぼす量ではないが、カカオにはカドミウムやニッケルなどの金属が含まれていることがある。カドミウムの場合、産地の土壌の状態によってその含有量に差があるが、長期間にわたり大量に摂取することは控えたほうが良いだろう。

 ニッケルは、(独)国民生活センターによるカカオ分70%以上の高カカオチョコレート12銘柄の調査で、普通のチョコレートの1.9〜3.8倍含まれていた。ニッケルは、金属アレルギー物質として非常に多くの症例報告があるだけに注意したいところだ。
 
 さらに、残留農薬やカビ毒の一種であるアフラトキシンが、チョコレートの原材料である生鮮カカオ豆から検出され、積戻しや廃棄処分となっているとの報告もあるという。(同センター)

 普通のチョコレートなら大丈夫な人も、カカオを多く含むハイカカオチョコレートの場合、やはり過剰な摂取には注意が必要だ。嗜好品として食べる分量ではさほど問題がないが、"ハイカカオチョコレート・ダイエット"などと言い出して過剰摂取による事故が起きないかが心配だ。

 「日本チョコレート・ココア協会」は、こうした指摘に対して、日本人1人当たりの年間チョコレート消費量は2.2kgであり、欧米の1/3〜1/5程度である、としている。つまり、日本では過剰摂取を心配するには当たらないと主張する。だが、問題は統計ではなく、効果を妄信する個人なのではないか? 

 どうやら"バレンタインはハイカカオチョコで愛と健康を贈る"は成立しないようだ。
(文=編集部)