嵐の予感いっぱいである。

 初場所は10年ぶりとなる日本出身力士、琴奨菊(31)の初優勝で大いに盛り上がったが、熱気ではこちらも負けてはいない。1月29日、初場所が終わったばかりの両国国技館内で次の大相撲界のリーダーを決める理事選(役員候補選挙)が行われ、定員10人に対して現職6人、新人5人の11人が立候補。新人の高島親方(元関脇高望山)が落選した。
 「本当は立候補する予定だった九重親方(元横綱千代の富士)が投票日前日、票が揃わなかったと断念しました。この九重親方を支持していた票が、微妙に他候補の得票に影響を与えたのは確か。予想では苦戦必至とみられていた伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)や山響親方(元幕内巌雄)らがそろってトップ当選しましたからね」(担当記者)

 3月に改選される理事長のポストを激しく争っている八角理事長(元横綱北勝海)と貴乃花親方(元横綱貴乃花)の得票はともに9票で“痛み分け”となったが、当選した理事の顔ぶれを見ると、今後、両者の激突が一段と激しくなるのは避けられそうもない。

 貴乃花親方にとって強い追い風となったのは、山響親方の当選だ。
 この山響親方は、一門は異なるものの熱烈な貴乃花信奉者で、師匠である北の湖前理事長の遺志と称して立候補し、「前理事長は貴乃花親方を自分の後継者、つまり次の理事長と目していた」と“北の湖の遺言”の存在を明らかにしている。当選した直後も、「自分は北の湖親方の思いを貫いていくだけですよ。とにかくブレない気持ちでがんばっていきます」と熱く語っていた。
 「伊勢ケ浜親方の当選も貴乃花親方にとっては有利な材料です。“反八角”という点では共通していますから。カギを握るのは、山響親方を除く3人の出羽海一門の理事たち(春日野、境川、出羽海親方)の動向です。この一門は今回も4理事、2副理事が全員当選し、一大勢力を誇っています。現在は八角理事長寄りとみられていますが、これから貴乃花親方が、自分に信頼を寄せる山響親方を突破口にどう切り崩していくか。理事長選挙まであと2カ月。貴乃花親方の動きから、いっそう目が離せなくなって来ました」(大相撲関係者)

 もちろん、八角理事長サイドも手をこまねいているはずもない。今後、両者のつばぜり合いは白熱するばかりだ。