シェアリングエコノミーと呼ばれる新しいビジネス領域が注目されている。これは、民泊で話題となっているAirbnbのような、「誰かとシェアすること」をマッチングするサービスだ。

Airbnbは米で2008年に登場した、部屋を貸したい人と宿泊したいという人をつなぐ民泊を支援するサービスだ。いまでは世界190ヶ国34,000以上の都市に広がっている。実はこうしたサービスが、このAirbnb(宿泊)以外にも、Uber(自動車での移動)、DogVacay(ペットシッター)、Feastly(食事)…とさまざまな分野で登場している。

◎個人と個人が「シェア」する
カーシェアやサイクルシェアは特定の事業者が提供するサービスだ。
シェアリングエコノミーのポイントは、個人対個人で行われるビジネスであること。
個人が所有(保有)する資産(あるいはスキル)を個人が利用する。

たとえばAirbnbなら、
・自宅の空き部屋や住んでいない部屋を貸したい人はホストとして登録する
・ゲストは、サービスに登録された中から場所、料金、期間など、好きな宿泊先を予約する
ことで利用できる。

Uberは配車アプリとも言われるスマートフォン主体のサービスだ。
ドライバー登録をして収入を得ることもできるし、利用することも容易だ。

・何かを提供できる側は、それにより報酬を得ることができる。
・利用する側には、手軽さや料金がメリットになる。
こうしたシェアリングエコノミーの市場規模は2025年には約3,350億ドルに拡大するという見込みも出ている(PwC「The sharing economy - sizing the revenue opportunity」)。

◎シェアリングエコノミーが成り立つ背景
シェアリングエコノミー型のサービスの多くは、宿泊などをはじめ、これまでは専門の事業者が自分たちで行っていたり、あるいは仲介する事業者がいたりしてきたビジネス市場だ。

それが、(アプリというプラットフォーム上ではあるが)個人と個人のやり取りに移行し、成り立ってきているというわけだ。
こうした背景には、やはりソーシャルメディアの普及で、誰でもどこでもつながるようになったということがある(たとえ緩いつながりでも)。

従来の仕組みでは、事業者はサービスを保証し、対価を得て、利用者に提供する。
シェアリングエコノミー型のサービスでは、プラットフォーム側が提供するのはその"座組み"がメインとなる。

では、何をもって、信頼してサービスが利用できるといえるのか? 

相手は個人で、しかも利用するのは宿泊や乗車など"サービス"だ。
何か商品を買って終わりではない。
期待するサービスが受けられるとする保証をどこに求めればいいか?

そこで鍵になるのは、
・この人だから信頼できる
・この人がこういうから信頼できる
という関係性がもたらす"信頼性"なのだ。

シェアリングエコノミー型サービスでは、Facebookなどの既存ソーシャルメディアと連携したり、利用者同士の双方向のレビュー制度を取り入れたりしている。

◎トラブル防止の規制も
と、ここまでみてきて、なにか気づくことがないだろうか。
そう、企業から個人への移行というキーワードだ。

ソーシャルメディアにより個人ビジネスが普及したが、そこにはトラブルも課題も発生した。
あたらしいビジネス形態であるシェアリングエコノミーにも課題はある。

ゲストによる盗難や、事故が起きたら、その責任は誰にあるのか? 実際、そうしたトラブルも起きている。多くの場合、法的な責任がグレーのまま、サービスだけが進んでいる現状がその要因となっている。もちろん、既存の業界への影響も大きな問題とし存在している。

2015年は特にアジアの新興国において、AirbnbやUberなどのシェアリングエコノミー型サービスは多いに躍進したという。
しかし、今後は「シェアリングエコノミー型」という土台や拡大する流れはあるとしても、それぞれの国や地域に合わせたローカルルールで運営されていくことになるのではないか。

日本でも、2020年の東京オリンピックに向けて、増え続けている海外からの観光客向け宿泊施設の不足を見据えて、昨年から「民泊」に対する規制についての議論が活発になっている。そんな中、2月5日、厚生労働省が規制改革会議の作業部会で方針を示した。Airbnbのような民泊が果たして合法なのか、何らかの規制が必要なのではないか、ということから厚生労働省が動き出したということなのだ。

規制は2段階で行うことを考えているとして、まず今春から、
・民泊をカプセルホテルなどと同じ「簡易宿所」と位置付け、自治体の営業許可を得た民泊を合法とする


第2段階として、
・家主が住む自宅の一部を貸し出す「ホームステイ型」の民泊は旅館業法の適用から外し、営業許可がなくても手掛けられるようにする

とのこと。

この方針で進むと、家主が居住する戸建て住宅でも自治体の許可なしに民泊が可能ということになる。規制改革会議では、家主が居住しない戸建て住宅にも解放すべきだとする意見も出ているという。

日本では日本なりの着地をするのだろうが、スーツケースを抱えた外国からの旅行者に宿泊先までの道を聞かれて、そこがホテルじゃない、なんてことは、今後、間違いなく増えるだろう。


大内孝子