AERA 2016年 2/8 号

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 視聴率が25%を超える日もあるという人気の朝ドラ「あさが来た」。ディーン・フジオカ演じる「五代さま」こと五代友厚が大人気だったのは言わずもがな。一方で、玉木宏が演じたあさの夫・新次郎にも、人気が集まっている。あさを導くメンター的立場の五代さま、そして、陰に日向にあさを支える新次郎……この「板挟み」にも、羨望のまなざしが注がれている。

「男性がメンターで、しかもあんなにカッコ良くて、そのうえ自分の夫とも親友なんてありえないでしょ?」

 そう話すのはあさと同じ女性経営者ながら、ベビーシッターや家事代行を斡旋するマザーネット(大阪市淀川区)社長である上田理恵子さん。

 理想が現実と違うからこそ憧れを抱くのかもしれないが、自分の身の上とは関係なく彼らの三角関係を楽しむ人もいる。

 都内で美容関係に勤める40代の女性は毎朝、自分があさになった気持ちで画面に向かう。

「新次郎は最初朝帰りしたりして主婦の敵だと思ってたら、あさの姉のお琴を探しだしたりしてあさを陰でフォローする。しかも自分がやったことを自慢しない。もう完全にギャップ萌え。五代はあさが寝てる間にペンギンの絵を置いていったりして……。完全に私たち中年女性が親しんだ少女漫画の世界でしょ」 そういえば『ベルばら』『花より男子』『タッチ』、全部男2人にひとりの女性が板挟みになる。「どうしてアンドレの所に行かないの?」とじりじりした10代の頃を思い出す。しかも、二番手男子が話題になるケースも多い。「花男」で小栗旬が演じた花沢類にシビれた女子は多かったはず。「あさきた」もこの「二番手萌え現象」といえよう。二番手男を含め、脇のキャラが立つドラマは面白いのだ。

 仕掛け人のNHK大阪放送局番組制作統括の佐野元彦さんは「会社に、五代をもっと生かしてほしかったといった電話がかかってきた」と反響に驚く。

「幕末に海外に渡り他の人とは異なる経験と視野を持つ五代と、日本ではなく香港・台湾を俳優の出発点にしたディーンさんの生き方が重なる。彼しかないと感じた」

 当初は昨年末で亡くなるはずだったが、あまりの人気に「脚本の大森(美香)さんに台本を書き換えてもらい、寿命を延ばしてもらった」(佐野さん)。

 佐野さんは、図書館で原案になる小説『小説 土佐堀川』を見つけ、ドラマ化を思いついた。

「読んでみたら、新次郎とあさの夫婦関係は破(わ)れ鍋に綴(と)じ蓋(ぶた)。史実でもそうだった。共働きが増え、パートナーシップを結ばない人もいるなか、この物語は今やれば響くと思った」

 ちなみに、今後も回想シーン等で五代の出番は増やしてくれるそうだ。

AERA  2016年2月8日号より抜粋