三菱総合研究所・政策・経済研究センターの武田洋子副センター長が講演し、中国経済について「過去のバブルの修正の過程にある」とした上で、中国の国内総生産は16年には6%台半ばとなり、17年にはさらに下落すると予想した。

写真拡大

2016年2月5日、三菱総合研究所・政策・経済研究センターの武田洋子副センター長は、「2016年の世界経済」と題して、日本記者クラブで講演した。中国経済は「過去のバブルの修正の過程にある」とした上で、中国の国内総生産(GDP)は16年には6%台半ばとなり、17年にはさらに下落すると予想した。民間部門の債務残高がGDP比で200%(2倍)程度まで膨張、バブル時代の日本と同様のハードランディングリスクの懸念があると指摘しながらも、中間層が拡大し所得が伸びているため、サービス産業のGDPに占める割合が拡大。第3次産業のGDPが14年7.8%、15年8.3%と上昇、16年も高い伸びを確保する、との見通しを明らかにした。発言要旨は次の通り。

【その他の写真】

2016年の世界経済は、中国など新興国経済の減速と米国の金融政策転換がここ数年、相互作用しながら世界経済や国際金融市場に多大な影響を与えている。米国一極集中から脱却が進み、多極化しているためである。

中国経済は過去のバブルの修正の過程にある。設備の過剰は膨大で、鉄鋼の過剰設備は日本の生産量の3倍にも達している。上海市場の株価も行き過ぎを修正する過程である。中国の国内総生産(GDP)は15年の6.9%成長が16年には6%台半ばとなり、17年にはさらに下落するだろう。

重厚長大型産業の成長は鈍化するが、第3次産業のGDPが14年7.8%、15年8.3%と上昇、16年も高い伸びを確保する。中間層が拡大し所得が伸びているためで、サービス産業のGDPに占める割合は60%以上に拡大している。中国経済の2面性に着目しなければならない。

中国経済はイノベーション主導による成長モデルに変換しつつあり、中国政府が中軸に位置付けている。「インターネット」を中心としたIT産業の売り上げが著しく伸びており、タクシー運転手までネットでつながっている。

ただ国有企業の改革は進捗していない。政府は政策総動員による景気下支えを目指しているが、中央政府がいくら刺激策を打っても、財政赤字を抱えた地方政府が投資に踏み出せず、構造問題に起因する景気下押し圧力が一段と強まる恐れがある。中央政府は資金を確保しているが、民間部門(非金融部門)の債務残高がGDP比で200%程度まで膨れ上がっていることは懸念材料だ。中国の貯蓄率は高いから心配ないとの声もあるが、それはバブル崩壊後の日本も同じだった。バランスシート調整と不良債権問題が深刻化すれば、ハードランディングリスクが高まるだろう。(八牧浩行)