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現在、経営者として活躍中の村井氏は3年前に突然うつ病になり様々な苦しみを経験しながらも、克服しました。村井氏は、うつ病に苦しむ人々の為に改善のきっかけになればと考え、自らの体験を執筆しようと決意しました。

今回は、うつ病回復を加速することに大いなる貢献をいただいた医師との出会いとその治療の本質についてお話いただきました。(なお、本記事内で説明されている症状、治療内容はあくまで村井氏個人の体験したものです。)

素晴らしい医師との出会い


私が出会った医師の医療に対する情熱、治療方針、治療法は素晴らしいもので、うつ病の回復度合いが一気に加速をしました。ここでは、その概要についてご紹介しましょう。

この病院の院長は元々大学院の博士課程を経て研究職についていました。そこで、精神神経免ストレスや報酬系の破壊は免疫力の低下を引き起こすことを突き止め、そこから心(つまり脳)が体に強い影響を与えることを知り、「血液中の物質や細胞を疫学の研究に従事する中で、「報酬系」と呼ばれる喜びを司る脳領域の興奮が免疫力を増強させ、詳細に調べることで、精神疾患の診断が可能になるのではないか」と着想しました。

そんな先生が、最近の著書の冒頭で、日本の医療社会が抱える大きく、かつ、喫緊の課題解決のために、研究職から医療現場に出て来られた経緯について語っていました。簡潔に要点をまとめると、
1:日本のうつ病患者は約100万人。未受診者を含めると、全うつ病患者は400万人に達する。
2:うつ病は通常の身体的疾患と異なり、治療薬剤の選定のための確固たる基準が存在しない。
3:日本の自殺者は年間約3万人。少なくとも1万人はうつ病であり、残りの2万人の中には未受診のうつ病の患者が多数含まれる。
うつ病患者1人あたりの年間の経済損失は、200万円に及び、失業率も高く、経済的困窮から自殺を選ぶ場合もある。
4:自殺による経済損失は1兆2,000億円、うつ全体では数兆円に上り、うつ病ケアは日本社会にとって重要な課題。
5:今まで、うつ病診断は専門の医師による問診しか手段がなく、健康診断や専門外の診療科においてうつ病を発見するのは困難だった。
6:うつ病は適正な治療にて治癒し、早期発見が予後改善と再発防止に役立つため、専門医でなくても診断できる客観的判断基準の早期発見が望まれている…と言うものです。

研究職から医療現場への転進の背景には、言うまでもなく、「血しょうPEA濃度がうつ病の補助診断に役立つ」ことを広め、さらに、確立をさせていくという大いなる“志”がありました。

うつ克服の4ポイント


この先生の治療を受け、私なりに体験的に感じたうつ克服のキーポイントをまとめると、以下の4つに集約されます。

(1)「PEA診断」と言う客観的な指標を持った、納得度の極めて高い治療指標を持っている。
このことは、前号において、自らの治療中の数値の変化を記して説明をした通りです。正直なところ、一刻も早く日本の精神医療界に普及し、うつの早期発見を通じて予後改善と再発防止に役立つことを心から期待しています。

(2)患者一人ひとりの異なる状況を把握し、適切な治療(3分間診療ではない)をする。

この診療院は、他の病院とは違って、休診日が火曜日の午前中、金・土曜日です。休日もやっています。やはり、一患者に30分をきちんと確保するとなると、休日営業も必要なのでしょう予約制でありがら、30分程度は待つことがあります。患者の状況を丁寧にヒアリングを行う為です。

(3)ぶれない方針:「患者の抱える問題を突き止めることが治療成功の鍵。客観的なデータに基づき無駄な薬の使用を極力抑える」

治療方針として、“患者の抱える問題を突き止めることが治療成功のカギ”“無駄な薬の使用を極力抑えた診療を心がける”を掲げて、私に対してもその通りの治療をしてくれました。以下、私が体験した具体的内容を説明します。

自律性を育成するカウンセリングを経験し、大きな進展


体験を通して、精神疾患の治療に現在使用されている薬の多くは、病気の根本的な原因を取り去るものではないように感じています。症状を和らげるためのいわゆる対症療法的な薬が主のように感じます。
私の場合、初期の主治医の下、入院時点では自殺(京浜東北線に飛び込むこと)まで考えるほど症状が重かったので対症療法的薬を沢山飲んで症状を和らげることを優先させましたが、一方でこうした薬を長期にわたって服用することで、薬物依存の入り口まで来ていました。

しかし、この治療院では、「PEA」診断の数値を見ながら、診療の都度、「この薬はこんな風に減らして行きましょう・・」とそれぞれの薬の役割(効能)を丁寧に説明をしてくれます。一方、かなりの回復が見られ出したころには逆に慎重に薬を減らして行きました。30咫20咫10咫ΑΔ函時にもどかしくもありました。そして、薬が全くのゼロになり、今度は5ヶ月後に顔を出してくださいと言われたのは昨年の12月に入ってからでした。それも、最後の「PEA診断」の数値を確認してから慎重に。うつになって3年の時が流れていました。

「趣味を持ってください。」「何も考えずに、眠い時は寝てください。」そうして、「とにかく今は、枯渇したエネルギーの充填に専念してください。」「沢山薬を飲んで!」こう言った言葉を繰り返してきたこれまでの主治医とは大違いでした。ここに来なければ、その後も長い間、薬物治療を受け続けて、今の完全復帰はなかったと思えます。うつにおける薬の使用を否定するのではなく、効果的でわかり易い服用が非常に重要であるというのが、私の結論です。

もうひとつ、先生が診療で重点をおいていたのは、カウンセリングを通して“患者の問題を見抜き、病気の原因を突き止める”ことでした。そのために診療時間中は徹底して問いかけられた記憶があります。私の場合、特に治療開始当初は、こちらが話すと言うよりはむしろ、先生が投げかける質問に答えていき、病気の根底にあるさまざまな問題や要因を探る事が出来たような気がします。

当初は、自分の心(資金繰り失敗⇒予測される人生の完全敗北から逃げたことで、薬を通じて真性の「うつ病」になってしまった…との後悔の念と将来に対する不安感を隠して、自らのプライドを守ろうとする防衛機制(ぼうえいきせい)が働き、時間をかけて、先生に解きほぐしていただいたのです。
結果的には、「PEA診断」で立派なうつの数値が出て、先生との会話を通じて、
・そこまでの働き方をしていたら誰でもうつになる。
・経営の能力の問題ではないので逃亡者でも、敗北者でもない。また、犠牲者(人のせい)でもない。
・自殺を思いとどまらすべく健全なアラーム信号(体の不調の連続)を出してくれ、結果、それを防いでくれた健全な肉体に感謝が必要。
・何も失っていないんだから、生きる力はあるんだから、リスタートを切ればいいだけ。
と納得し、自らうつに立ち向かうことが出来たのでした。

振り返ると先生のカウンセリングは、患者に、なぜ自分が病気になったのかに気づかせ、なにを治したらどう変わって、どういう未来が拓けるのかを自覚させるものでした。まさに、「自律性」の育成です。通常、医者もカウンセラーも患者に対して、具体的アドバイスはしませんし、以前診ていただいた先生のように3分間診療では、丁寧に患者の問題に対処していくのは物理的に無理です。

心の病を抱える患者の中には、いろいろな物事の決断ができないという方がたくさんいるはずです。解決策が見つからない中で決断を迫られるも、やはり答えが見つからなくて決断できない…こういった状況の堂々巡りこそがうつ病だと思います。先生との会話を通して、問題を把握し、自分で決めて、行動して、行動に伴うリスクを背負う…ということを体感できた私は大変幸運でした。

このように、「PEA診断」を通じた外苑前の先生との出会いにより、うつからの回復は加速していきました。次回は、もう少しこのあたりの心と体の動きをお話ししたいと思います。

<執筆>
村井哲之
広島大学 政治経済学部 経済学科卒
法政大学環境マネジメント研究科修士課程中退
事業構想大学院大学 研究員
環境プランナー
リクルート、第二電電(現KDDI)等を経て、現在、日本初の廃棄のコンシェルジェ
総合商社 (株)イブロン代表取締役