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●ブランド関連キーワードの検索数なども測定
以前は映像を使った広告といえばテレビCMがメインだったが、最近はインターネット上での動画広告も多くなっている。そのプラットフォームとして多くの企業に利用されているのがGoogleの「YouTube」だ。そして、Googleが広告主向けに提供している動画広告の効果測定を行うサービスが「Google広告ブランド効果測定」だ。

「マーケティングの視点で見ると、広告が生活者にリーチして当たるというだけでなく、ブランドを認知してもらった上で、商品購入時の比較検討の1つに入れてもらうこと、さらに、ブランドへの好意度を上げ、最終的にコンバージョンにつながることを目標とすべきです。広告の目的としてもこうした目標を明確にして測定する必要があります」と語るのは、Google ブランド ソリューション エキスパートの翁友莉氏だ。

「ブランド効果測定」では、単純にYouTubeの動画広告の再生回数だけで評価するのではなく、動画広告視聴後にブランドの認知は高まったのか、ブランド関連キーワードの検索数が増えたのか、購入前の比較検討候補に入れられたのかといったことまでを測定する。

調査にあたって必要なコストは、十分なサンプル数を得るための出稿料のみで、調査費用はかからないという。

○効果的で信頼度の高い測定結果を迅速に提供

翁氏は「ブランド効果測定」の特徴を、「大きく3つあります。実態を捉える効果的な指標を測定できること、信頼性が高くできるだけバイアスを抑えた測定が行えること、最短7日間で結果が出せる迅速なレポーティングです」と説明する。

具体的な測定指標は、広告想起、認知度、サーチリフト測定、比較検討、好感度、購入意向といったものだ。このうちサーチリフトは事前に設定したキーワードのボリュームがGoogle検索とYouTube検索で向上したかどうかを計測するもので、他の項目はYouTube上でアンケートを実施する。調査設定などはGoogleの担当者が行うため、企業側で作業が増えることはないという。

「測定にあたって、先ず対象となるユーザーを広告に接触させるグループとさせないグループに分けます。後日、両グループに対して同じアンケートをオンライン上で行い、差分比較を行うという仕組みです。ユーザーとしてはYouTubeを見るという日常行動の中でアンケートに接触するため、調査に回答するという気構えのない結果が得られるなど、できるだけバイアスを排除した調査設計になっています」と翁氏はメリットを語る。

そして、その調査結果は最短7日で得られるという。2〜3週間のキャンペーンならば、実施中に測定結果を見て、ターゲティングの変更やコンテンツのカスタマイズなどを行えるわけだ。一般的な、キャンペーン実施の前後を比較するタイプの調査よりも迅速な結果が得られる。

過去の活用事例としては、賃貸住宅情報サイト「CHINTAI」と、海外における「モンデリーズ」の例を紹介。

「CHINTAIでは、テレビ広告がリーチしづらいターゲット層に対してブランド認知度の20%上昇、ブランド名の検索数に関して156%の上昇を達成しました。モンデリーズでは、迅速なレポーティングを活かしてリアルタイムに効果を測定し、2種のコンテンツのうち効果の高い方へ予算を集中したことで26%の認知度向上と、57%の広告想起上昇を実現しました」と翁氏は動画広告を結果につなげるために、効果測定が有用であることを語った。

●モバイル動画広告で従来捉えられなかったセグメントへリーチ
現在、生活者がオンラインコンテンツに接触するために利用される端末としてモバイルデバイスが使われることが増えている。

「我々の感覚としては、モバイルにシフトしきっています。検索のボリュームなどもモバイルがPCを上回っています」と語るのは、Google YouTube プロダクトマーケティングマネージャーの中村全信氏だ。

「PCと違い、モバイルは移動中に利用したり、寝る直前までベットで利用したりできますが、これは今までのマーケティングではなかなか捉えることができなかった部分です」と、マーケティングにおけるモバイルの重要性を語る。

実際「ブランド効果測定」を利用した結果として、モバイル動画広告で大きな効果が見られるという。

「対象期間内の138のモバイル動画広告キャンペーンのうち、46%が有意に検索を促せています。もちろん多くの場合、クリエイティブのクオリティによって効果は左右されますし、今回のキャンペーン全てが必ずしも検索を促すことを第一のKPIとしたクリエイティブでははない中で、、全体としてはしっかりと効果が出ていることがポイントです」と翁氏。

ゲームアプリ等を含むエンタメ業界の場合、モバイルとの親和性が高いため8割のキャンペーンで検索が促せているが、従来は検索につながりづらかった食品や日用雑貨といったカテゴリでも4割は促せているという。

もちろんこれは、検索数の変化であって、直接の商品購買につながった数ではない。しかし動画広告によって試聴者から何らかの行動を引き出すことができたという数字でもある。テレビCMでも同じだが、再生されただけで実際に人が見ていない場合や、眺めてはいてもメッセージが届いていない場合もある。そういった意味なく流れてしまう広告ではなく、人を動かすことができたということが効果測定によって見えてくるわけだ。

「検索数だけではなく、アンケートによって広告想起で6割、認知度4割、促しにくい比較検討でも2割で効果が出ています」とモバイルにおける動画広告効果を翁氏は語った。

●1度だけでは意味がない!定期的な測定実施と目標設定が効く
「ブランド効果測定」の利用方法として繰り返し語られたのが、継続的な測定を行うことの重要さだ。

「1度で判断するのではなく、継続的に測定することをお勧めしています。広告でまずはブランド認知の獲得を目標とするかと思いますが、そこから商品やサービスの購入に至るまでにはさまざまな要因が必要となります。そこを乗り越えるための一つのポイントがターゲットの興味の対象に合わせたブランドメッセージを送り続けるということです。それによってメッセージを受け入れやすく、また関心を持ちやすくなることが考えられます。さらに、メッセージが効いているかどうかを、繰り返し調査を行うことで検証し、最適化して行くことができるのが効果測定のメリットです。「ブランド効果測定」によって、最適なターゲティングと最適なメッセージの組み合わせを検証することができるのです」と翁氏は語る。

そして、そうした最適解を探す動きにおいて重要となるのが、事前の目標設定だという。広告によって何を達成したいのかという目標を設定し、測定結果を活かして改善し続けることが必要なのだ。

「動画広告のキャンペーンにおいて、ブランドの認知度や好意度の上昇や、ブランド関連キーワード、例えばGoogle検索でコンバージョンしやすい特定のキーワードの検索数の上昇を目指すというのが基本的な目標設定ですが、その前に、まずその動画広告のみならずキャンペーン全体で何を達成したいのか、それを達成するために動画広告が果たすべき要素は何なのかを明らかにする必要があります。例えば、売上を上げるというのは最終目標ですが、売上を上げるために必要なのは何か。ブランド好意度が高い方ほど購入率が高い、だが競合他社と比べてブランドの認知度が低いのが課題としてある場合、まずはブランド認知度と好意度を高めることだけを今回の動画広告キャンペーンの役割とする、などです。どんな要素上げたら最終的な売り上げに効果がありそうなのかといった仮説を持って取り組み、常にその結果と向き合って検証するのがマーケターの仕事だと思います。そのため1度測定するだけでは意味がありません。目標を持って取り組み、結果を見て何が悪かったのかを見直し、目標を達成しつづけることが重要でしょう」と中村氏。

継続的な測定と改善によって、より動画広告のクリエイティブの質も向上する。テレビCM用のコンテンツをそのまま流用するのもひとつの手だが、ユーザーの興味・関心事に合わせた内容にしたり、モバイルデバイスから視聴されるシチュエーションを考えたりすることで、最適な表現も見えてくるはずだ。

「ブランド効果測定」のユーザーに向けて、Googleではケーススタディの提供などを含めたアドバイスも行っているという。

「例えば、Googleトレンドなどのデータがありますので、特定時期に急激に検索数が伸びるキーワードもわかりますので、バレンタイン向けなら2カ月前に検索数が急上昇し始める、というような事実を提案しています。また「ブランド効果測定」の結果に対する改善アドバイスなども営業担当者が行っています」と中村氏。

広告を掲出する時間やターゲティングについてより具体的なアドバイスなどを求める広告主もいるようだが、まずはそうしたデータを元にしたアドバイスを受けた上で、定期的な測定を行い、自社の最適解を探すべきなのだろう。

広告代理店ではなく、YouTubeという場を提供する企業であるGoogle だからこそのアドバイスとして、中村氏からはコンテンツそのものの魅力強化が指摘された。

「YouTubeに動画をアップロードすれば、広告として出稿している期間以外でも、動画はYouTube上にありますしGoogleの検索結果でもYouTube動画は出てきます。つまり、これまでは「動画広告を出す」という目的でクリエイティブを制作してTVCMなどで出稿しても、その動画自体は後に残りませんでしたが、YouTubeを活用すれば、企業自体がコンテンツオーナーになっているのです。そのため、企業が一方的に伝えたいメッセージを発信するのではなく、ターゲットにとって魅力ある、自ら見たくなるようなコンテンツを制作することが重要で、そうすれば検索や関連動画などから見つけてもらえます。」と中村氏。

広告出稿期間以外にも効果が得られる可能性が高いことなど、同じ動画を使ったものながらオンライン動画広告とテレビCMは大きく違うことがわかる。今ひとつ手応えを感じられていない状況ならば、ぜひ目標設定を行った上でコンテンツを制作しよう。その上で、効果測定を定期的に活用すること。これがGoogle の提案する、動画広告の活用方法だ。

(エースラッシュ)