『逆境を越えてゆく者へ』(著・新渡戸稲造、編・実業之日本社、691円)

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「人生の逆転満塁ホームランを打ってほしい」。覚醒剤取締法違反で逮捕された元プロ野球選手の清原和博容疑者に、PL学園時代からともに活躍してきた野球評論家の桑田真澄さんがこう呼び掛けた。人間誰でも逆境に陥るが、どう乗り越えていくか、真価はそこにある。今回は人生の困難を克服する方法について考えてみたい。

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人生の決勝点は10年先だ

『逆境を越えてゆく者へ』(著・新渡戸稲造、編・実業之日本社、691円)の著者は、世界的な名著『武士道』を残した新渡戸稲造だ。教育者、農学者で第一高等学校校長と東京帝大教授を務め、東京女子大の初代学長にもなり、青少年の教育に情熱を注いだ。その新渡戸の『修養』『自警』の中から「苦難の時をいかに生きるか」のテーマで精選し、平易な現代仮名遣いで新たに編集した。

そもそも逆境とは何か。新渡戸は、逆境はすべての人にあるといい、順調なときほど油断が生まれるし、傲慢になり、人への恩を忘れ、調子に乗りやすい。逆境の原因は、天が授けるものと自ら作り出す自業自得の2種類がある。後者の方がはるかに多いのに、多くの人は天を怨んだり他人を怨んだりする。

人生の決勝点は長い年月を経て決まる。焦ることなく、「まあ10年待て」と諄々と諭す。古風な教訓かもしれないが、いまも変わらぬ教えだろう。

何事も苦労がないと喜びがない

日米をまたにかけ、輝かしい記録を打ち立ててきたプロ野球のイチロー選手は天才とみられているが、『イチローの逆境力』(著・児玉光雄、596円、祥伝社)によれば、逆境こそが偉大なアスリートに育て上げたという。

イチロー選手はこう語っている。「野球を通して逆境を克服していくことが好きだ。自分は幸せな人間だと思う。不幸な人間って、何事もなんの苦労もなくできてしまう人でしょう。でも、それでは克服する喜びがなくなってしまう」

「イチローの逆境力」をヒントに、逆境に立ち向かい逆境を糧としてどう仕事に活かすか、あるいは逆境を利用して人生のヒットをいかに量産するか。ビジネスパーソンにも役立つノウハウが紹介されている。著者は京都大学工学部卒だが、臨床スポーツ心理学者として知られイチロー選手に関する著書も多い。

最後の勝利を手にするために

「成果を出せる人と、出せない人」「目標を達成できる人と、達成できない人」「夢をつかみとれる人と、夢が夢で終わる人」。これらの違いはどこにあるのか。『カイジ「したたかにつかみとる」覚悟の話』(著・木暮太一、1620円、サンマーク出版)は、その秘密を解き明かす。

一言でいえば「したたかさ」を持っているかどうか、ということだ。強さや賢さだけでなく、要領の良さやずるさでもない。既存のルールや常識に疑問を投げかけ、時としてルールを破ってでもゴールにたどり着こうとする。日本人は真面目すぎて、物事を真正面から取り組むが、最後の果実をさらわれてしまうことがある。したたかになれる者が、最後に勝つ――。

漫画『カイジ』から"世の中のルール"を学ぶ経済学入門書として話題を呼んできた人気シリーズの最新作。逆境に強くなり、もう一回り大きくなりたいという人へおススメしたい。