長引く国内市場停滞の
根本原因は何なのか

 2015年の日本経済は、史上最高を数えた外国人観光客によるインバウンド消費に支えられた部分が、少なからずあったと思います。

 しかし、いわゆる「爆買い」だけでは、長らく低迷している日本経済の本質的な回復につながるとは思えません。本質的な景気回復とは、日本市場において、消費者が商品・サービスを積極的に購入したいという機運が高まる状態だと思います。新年から株価は下がる、マイナス金利に拍車はかかるで、とてもそんな機運は読み取れません。

 多くの日本企業は、「国内の需要については、未来が見えない」「停滞したままで対応策が見つからない」というのが本音でしょう。

 では、長引く国内市場停滞の根本的な原因は何なのでしょうか。高度経済成長から1990年代前半くらいまでは、新商品が出るたびに、プロモーションさえすれば商品が売れた時代でした。

 その頃のマーケティングの成功ルールは、認知獲得を目的とした、いわば「リーチ・歩留まりルール」です。これは、マス広告でリーチさえすればその中の何割かが認知者として残り、さらにその中の何割かに商品購買意欲が喚起され、店頭まで足を運ばせれば商品が買われていくという発想です。

 当時は今に比べて、誰もが知っているようなヒット商品・ヒットキャンペーンも数多くあったように思います。それから一体何が変わってしまったのでしょうか。

 まずは消費者の2つの変化が挙げられます。(1)社会の高齢化、(2)消費の成熟化です。

 高齢化社会の消費の主役といわれたシニア層は、その長年の人生経験から、滅多なことでは新しいものにトライしたり、スイッチしたりしない傾向にあります。また、将来に向けた生活設計のために、闇雲に物を買わず、元気なうちにしっかりと備えておく傾向があります。

 また、消費の成熟化については、消費者の「昔は、欲しいものがあったけれど買えなかった」という消費への飢餓体験が背景にあり、新商品が非常によく売れた高度経済成長期〜バブル期の約35年が過ぎ去ったたことが、大きなターニングポイントとなりました。

 日本が豊かになるにつれ、子どもの頃から「欲しいものは全て満たされていた」という世代が若年層の大半を占めるようになり、「消費体験の飽和」が全世代的に進みました。こうして、「スイッチ」や「リトライ」といった新しい需要を生むことが、非常に難しい時代に突入したのです。

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