ジャニーズ事務所(撮影=編集部)

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 1月、日本中を賑わせたSMAP解散騒動では、タレントが大手芸能事務所から独立することの難しさを改めて浮き彫りにした。

「日本の芸能界は、大手芸能事務所からの独立や移籍はなかなか認めてもらえないのが現実です。かつて人気絶頂だった田原俊彦や諸星和己(元光GENJI)がジャニーズ事務所を退社直後に露出が激減した例などもあるように、芸能界を干される状態に陥るケースもあります」(芸能事務所関係者)

 SMAP騒動を受け、芸能事務所の「商品」でもある芸能人が不自由な立場に置かれているとの指摘も多数なされ、芸能人による労働組合結成の必要性を訴える声も高まっている。芸能事務所の事情にも詳しい紀藤正樹弁護士は自身のブログ上で、「日本にはびこる巨悪の一つ」として、労働基準法、独占禁止法、不正競争防止法といった多くの法的問題をはらんでいると指摘している。

 すでに米国では、芸能人の労働組合が結成されている。1933年に設立された映画俳優組合、SAG(現SAG-AFTRA)は、約16万人の組合員を抱える。米国で俳優活動をしている人物は語る。

「組合のお陰で、映画やドラマの撮影ロケでは1日3食の食事、撮影時間も過度な労働を強いられず、心身共に健康な状態で撮影に臨めます。俳優である前にまず人としての権利をきちんと与えられているので、演技に集中できるのです。撮影現場の雰囲気が違います。環境が満たされているので、スタッフもキャストもみんな朗らかで和やか。とにかく雰囲気がいいです。それと比較すると、日本の撮影現場は時間やお金、段取りに追われて、早朝から深夜までの撮影を平気でやるので、俳優たちは睡眠不足や過労で充分に実力が発揮できていないと感じます。現場の空気がピリピリしているのも良くないですね」

 実は日本にも、俳優の西田敏行が理事長を務める協同組合、日本俳優連合が存在する。しかし、会員数は約2500人と小規模で、芸能界に大きな改革をもたらすまでには至らない。

 また、米国と日本の労働環境が違いすぎるため、SAG-AFTRAに所属している日本人の俳優は、日本で仕事をしたくても困難を伴うという。

「日本の撮影に参加すると、どうしても米国の労働組合の基準を逸してしまい、スケジュール的に日本と米国での撮影の両立ができません。そのため、米国の組合に入っている俳優は、日本の芸能事務所では使いづらいという理由で敬遠されるのです」(同)

●労働組合づくりの構想

 さらに、この人物によれば、米国と日本の芸能事務所の違いも大きいという。

「米国ではあくまでも出演交渉や金銭交渉を行ってくれるエージェントとしての個人契約で、タレントのプライベートには立ち入らず、細かく管理されることはありません。エージェントはあっせん手数料しか取らず、俳優自身が個人的に仕事を取ってくることも自由。独自で取った仕事に関しては、エージェントに報酬を支払う必要はないという非常に自由なものです」

 日本の現状について、タレント側に打破しようとする動きがなかったわけではない。

 82年には島田紳助氏が「吉本連合組合」を結成してデモ行進を行ったという歴史もあれば、最近では俳優の小栗旬が一昨年8月発売の「クイック・ジャパン」(太田出版/vol.115)で、俳優の労働条件を改善するべく労働組合づくりを構想していると明かした。しかし、俳優仲間に呼びかけてもなかなか乗ってくる人は少ないという。「『自分は誰かに殺されるかもしれない』くらいの覚悟で戦わないと、日本の芸能界を変えるのは相当難しいっすね」とまで発言しているのだ。

 SMAP解散騒動を契機に、タレントの労働環境改善が進むことを期待したい。
(文=編集部)