名探偵コナン 7

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人気漫画の主人公ともなれば、必ず1つや2つは持っている“印象的なセリフ”。それは格好良い決めゼリフだったり、時には迷ゼリフだったりもするが、ファンの心に深く刻み込まれるものだ。キャラクターの名言を集めたサイトや掲示板はネット上に多数存在する。

『ONE PIECE』『アカギ』『ゴルゴ13』… 実は終わりが決まってる“人気長寿漫画”

しかし画像合成(コラージュ)技術とインターネットが普及した現在、セリフを改変したコラ画像がアップされ、それを見た人が本物と誤って信じてしまう可能性が出てきた。そこで今回は人気作品で主人公が言ったとされる“あのセリフ”が本当かどうか、原作コミックス準拠でじっくり検証してみた。

「だいじょうぶだ ドラゴンボールで生きかえれる」
発言者:孫悟空/『ドラゴンボール』

魔人ブウ編で敵の策略により、多くの人々が命の危険にさらされたシーン。街に残してきた家族を心配するブルマに対し、悟空がこのセリフをさらりと言った。これは本物である。

ただし直後のコマに「鬼!外道!悪魔!」「なんだおめぇ ブウに殺される前にオラに殺されてぇのか?」と続いている場合、その部分はコラ画像だ。

この「ドラゴンボールで生き返るから殺されても大丈夫」という考え方は、仮にも主人公が一般市民の生命をそんな軽く扱っていいのかという点で、しばしばネットユーザーから非難を受けている。

だが『ドラゴンボール』はご存知の通り、連載長期化に伴って強さのインフレが進み、ボスキャラともなれば簡単に地球を破壊できるようになった。どうあがいても人類滅亡という状況なら、悟空のように“最悪の中で最善を追い求める”姿勢を一概には否定できないのかもしれない。

なお、悟空のセリフばかり有名になっているが、ストーリー中盤以降になると「死んだ観客も全員生きかえるさ」(ヤムチャの発言)、「トランクスならドラゴンボールで生きかえったんだ」(クリリンの発言)など、多くのキャラがドラゴンボールによる蘇生ありきの考えになっていた。バトル漫画のパワーインフレが引き起こした弊害(?)として、いろいろ考えさせられる話である。

「おまえはもう死んでいる」
発言者:ケンシロウ/『北斗の拳』

世紀末救世主ケンシロウの決めゼリフ。これは本物なのだが、原作コミックを紐解いてみると、厳密には一度しか発せられていないことが分かった。

そんなはずはない。いろんなシーンで見かけたはず……という人のため、似たようなセリフを引用してみよう。

「その男はすでに殺してある」
「おまえはもう死んでる」
「きさまはすでに死んでいる」

このように、微妙に言いまわしが違っているのだ。

ちなみに『北斗の拳』のセリフにまつわる話題として、拳王(ラオウ)の一人称がころころ変わっていたこともネットでは有名だ。

南斗水鳥拳のレイがラオウと遭遇するシーン。わずか1ページの間に、ラオウの一人称が「おれ」「わし」「わたし」と3つ出てくるのだ。コラ画像と思ってしまう人も多いだろうが、れっきとした本物。まだ序盤でキャラクターが固まっていない時期だから起こりえた珍事であろう。物語が進むうち、一人称は「おれ」に統合されていった。

「働きたくないでござる!」
発言者:緋村剣心/『るろうに剣心』

剣心が逆刃刀を握りしめ、真剣な表情で「働きたくないでござる!!! 絶対に働きたくないでござる!!!」と叫ぶ画像がネットに広く出回っている。まさか信じた人はいないだろうが、もちろんコラ画像だ。

ネタ元は剣心を怨んだ雪代縁が、ヒロインの薫を殺しに来るシリアスなシーン。改変される前の本来のセリフは「たとえ巴の本当の魂がお前に微笑んだとしても それだけは絶対に許さんッ!!!」。

これとは別に、志々雄真実と剣心の会話シーンを使ったネタもある。「労働は大人の義務なんだよ」と冷徹に言う志々雄に対し、やはり真顔で「義務であろうと働きたくないでござる」と返すシュールなコラ画像だ。

幕末の英雄に対して風評被害もいいところだが、よく考えてみれば縁も志々雄も、目的のために(善悪はともかく)全力で働いている青年実業家だ。神谷道場に居候している剣心がこのようなネタにされるのも、ある意味仕方ないかもしれない。

とはいえネタにされること自体、剣心という“最強のニート”がファンから愛されていることの証明である。2010年には、この改変セリフをリスペクトしたと思われるボーカロイド曲『はたらきたくないでござる』がニコニコ動画へ投稿され、今なお親しまれている。

「じゃあ死ねよ」
発言者:山岡士郎/『美味しんぼ』

うつ病にかかって死にたいと言う知人の料理人・岡星に対し、山岡が「じゃあ死ねよ」と突き放すシーン。コラか本物か悩ましいところだが、本物である。ただし直後に「死ぬと決めたらもう死んでいるのも同然だ。気持ちが軽くなっただろう?」「あと1年だけ俺に命を預けないか?」と続く。

過激な言葉で相手をギョっとさせ、きっちり最上級のフォローをする山岡お得意のスタイルだ。なお、「じゃあ死ねよ」の後にフォローがなく、ダメ押しにもう一度「死ねよ」と言っているのはコラ画像なので注意したい。

もう1つ、ネットで有名なのが栗田さんの「じゃ、こうしましょう。用意した料理が、美味しければ許す。まずかったら死刑」というセリフ。ヒロインキャラがこんな物騒なことを笑顔で言うなんて、もちろんコラ画像……かと思いきや実は紛れもない本物。

前後の文脈を考えても「死刑」が出てくるのは唐突で、しかも当時の栗田さんはこれから新たな生命を生み出す妊婦なのだ。読者に与えたインパクトは大きかった。

優秀な選別眼を誇るネット住人たちすら“コラと本物の区別がつかない”と震えあがらせる、これもまた『美味しんぼ』が持つ不思議な魔力である。

「ペロ…これは青酸カリ!!!」
発言者:江戸川コナン/『名探偵コナン』

凄惨な連続殺人事件が起こっている最中、コナンが床に落ちていた粉末を舐めて発した(とされる)迷言。このシーンの画像がネットに出まわり、「人が倒れていた部屋の床にあった粉を躊躇なく舐める」「しかも猛毒だった」ことからネタ的な意味で注目を集めた。だが実は、これはコラ画像。

改変前のオリジナルは何だったのか? 問題のシーンが収録されているのはコミックス7巻。コナンのセリフを引用する。

「粉…?」
(ペロ)
「!? こ、これは…」
「麻薬!!!」

そう、本来のセリフは麻薬だったのだ。コナン君は猛毒など舐めていないので安心してほしい。

しかしこれはこれで、「怪しい粉を迷わず舐めたことは変わらない」「麻薬なんて口にして大丈夫なのか」「そもそもコナンは麻薬の味をどこで知ったのか」などツッコミどころは残る気がしてならない。おそるべきは少年探偵のアグレッシブな行動力である。