今井絵理子オフィシャルブログより

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「え? そんなまさか」......昨日、びっくりするようなニュースが飛び込んできた。自民党が元SPEEDの今井絵理子を夏の参院選に比例代表候補として擁立するというのだ。

 所属事務所は「そのような話は聞いておりません」と否定しているが、動きはかなり具体的らしい。大手新聞の政治部記者はこう話す。

「第一報は自民党サイドからのリークで産経新聞が報じましたが、これを後追いする形で、日刊スポーツとスポーツニッポンが、13日の自民党の党大会で、今井が君が代を披露することを報道しましたからね。事実上、所属事務所も認めたということ。早ければ、週明けにも今井本人が会見を開き、出馬表明するとみられています」

 自民党が今井に狙いをさだめたのは、今年の参院選で沖縄が選挙区の島尻安伊子・沖縄北方担当相が改選となるからだという。今井に島尻を"便乗"させようという目論見なのだ。

「安倍政権が辺野古移転を強行するためには、参院選は沖縄選挙区で絶対に負けられない。沖縄の有権者は安倍政権の"沖縄いじめ"状態に不快感をもっているうえ、島尻氏は基地反対派から賛成派に寝返ったことで評判が悪い。このままいくと、参院選で"オール沖縄"が再現されて大臣が落選するという事態が起きかねない。そこで今井さんを比例の候補にして、島尻氏を全面応援させたいと考えているようです」(同前)

 いうまでもなく、今井が所属していたSPEEDは沖縄アクターズスクール出身。グループ結成時に今井はまだ小学生だったこともあり、当然、地元・沖縄では「あのエリちゃんなら応援したい」という思いも強いはず。いわばそんな今井人気を利用しようということらしい。

 しかし、今回の報道で「まさか」と感じたのは、今井のほうが自民党の誘いに乗るとは思わなかったからだ。

 実は、今井は昨年の終戦記念日である8月15日に、こんなツイートを行っていた。

〈今日は8月15日、終戦の日です。テレビでもネットでも戦争のことが流れている。体験者が語る戦争の怖さ、苦しみ、悲しみ。目の前で仲間が死んでいく、我が子が戦地にいく、その想いを想像するとわたしは生きていけない。死が怖いことは、まだ生きたいっていうこと。戦争は何があってもダメ。〉
〈戦争を経験した方で戦争賛成派の方いますか?もしそういう方がいらしたら、どうして賛成なのかを聞きたい。戦争を経験していない人が賛成!というのは、どこか説得力がないでしょ。今の日本の流れを拝見すると、どこかプチ戦争なら賛成!みたいに見えるのはわたしだけでしょうか?〉

 時期的にはちょうど安保法制の議論が大詰めだったころ。そのため安保法制を批判したツイートとして拡散され、かたやネトウヨたちが大炎上させるという"事件"になっていたのだ。

 それにしても、「プチ戦争」とはまさに言い得て妙であり、芸能人として社会の流れに一石を投じようとする、勇気ある投稿だ。しかも、今井は2014年にも沖縄慰霊の日に「繰り返したくない」と題した文章を投稿。そこでも〈二度と同じ悲しみがあってはならないと願う。そして、時代は廻ると言うが、戦争は絶対に繰り返しちゃいけないと思う。忘れないように...〉と綴っている。

 また、今井は、08年に放送された『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)で、息子が高度感音性難聴であることを告白。175Rの元ボーカル・SHOGOと離婚した後はシングルマザーとして息子のハンディキャップと向き合っているが、やはりブログではこんなことも綴っている。

〈五体不満足=不幸せではない世の中になるよう、母として息子を全力でサポートできればと思ってます〉
〈聴覚障がい以外にも、様々な障がいがある。その障がいが「障がい」じゃなくなるような環境作りができればいいなぁ〉

 我が子だけではなく、みんなが生きやすい社会にしたい。今井のこうした言葉にふれると、なるほど彼女は政治家に向いているような気もしてくる。しかし、だからこそ「なんで自民党?」と首をひねらざるを得ないのだ。もし自民党から出馬して当選すれば、安保法にかんして賛成の立場を取ることになるだけでなく、社会福祉の充実どころか、その費用を削って軍事費に回すという今の思いとは逆さまの政策に手を貸すことを強いられてしまうからだ。

 しかも、自民党が連携させようとしている島尻大臣は、沖縄にルーツがないだけでなく、前回の選挙で普天間の沖縄県外移設を公約に掲げて再選したにもかかわらず13年に公約を破棄、辺野古移設容認に転向。さらに、そうした寝返りも棚に上げて、昨年4月には基地建設反対を訴える市民運動を「責任のない市民運動」などと批判している。このように沖縄県民を愚弄しつづけている政治家と、故郷・沖縄を愛する今井はともに手を取り合わなくてはいけなくなるのだ。

 しかしだとしたら、いったいなぜ、今井は自分の信条と矛盾するような政党の候補になろうとしているのか。

「今井が所属するライジングプロダクションは自民党の谷垣禎一幹事長と太いパイプがありますからね。事務所の圧力があったんじゃないでしょうか」(芸能関係者)

 たしかに、ライジングプロダクションは、バーニング傘下のプロダクションの中でも、政界との関係が根強くささやかれてきた事務所だ。安室奈美恵が沖縄サミットのイメージソングの歌手に選ばれ、各国首脳の前で披露した際も、小渕恵三元首相との癒着が指摘され、01年に創設者の平哲夫氏が脱税で逮捕された際にも、暴力団とともに、政界への資金流入が取りざたされた。

 そのライジングの政界人脈の中でも、もっとも深い関係が囁かれていたのが谷垣幹事長のかつての親分である加藤紘一氏。つまり、谷垣氏はその加藤氏時代からのライジングとのパイプを今回、利用したと考えられる。

「一方、今井はシングルマザーで、子どもを抱えているのに、仕事があまりない状態ですからね。断りきれなかったんでしょう」(前出・芸能関係者)

 戦争への加担に反対していた芸能人までが、さまざまな手練手管で自民党に取り込まれていく。まったくこの状況には、ため息しか出ない。
(田部祥太)