2月12日公開の映画「スティーブ・ジョブズ」試写会に行ってきました。


ひとことで言うとジョブズ映画「上級者向け」です。
登場人物の誰が何をした人で、これまでに何があったのか、あれもこれも説明なし。
「わかってる人だけ観ればよろしい」とお客さんを選別して、美しさを優先して、まったくジョブズ的な映画です。

大前提をざっくりおさらい


この映画を「スティーブ・ジョブズ?誰?」って人は観に行かないとは思いますが
「知らないけど観る事になった」人がいたらそれはたいへん気の毒なので、簡単に説明してみます。


スティーブ・ジョブズ
MacintoshやiPhoneに代表されるApple社を創ったカリスマ。
エンジニアではない、プログラマでもない、デザイナーでもない、結局何がすごいのかわからない所がいちばんすごい。


ジョアンナ・ホフマン
ジョブズの部下。暴君ジョブズに愛想をつかさず向き合い続けた菩薩。


クリスアン・ブレナンとリサ・ブレナン
ジョブズの元カノと娘。
ジョブズは結婚もリサの認知も拒否、クリスアンと大揉めした後DNA鑑定と裁判でリサを認知。
映画には出てきませんがジョブズには妻ローリーンと、その間に子供が3人います。


スティーブ・ウォズニアック
Apple社ををジョブズと一緒に立ち上げた天才エンジニアで、ジョブズの親友。エンジニア界の現人神。


ジョン・スカリー
ジョブズがペプシ・コーラ社から引き抜いた経営者。Apple社が苦しかった時に社長を務めた苦労人。

この映画に関してはこの人達だけ抑えておけば、後はなんとなくわかります。

ジョブズ史としては


このへんがテストに出ます。

漫画「スティーブズ」のアシスタントから見た映画「スティーブ・ジョブズ」


私は漫画アシスタントとしてスティーブズという漫画を手伝っています。


ジョブズが「コンピュータの角を丸くしろ」なんて言ったせいで、私は漫画に出て来るコンピュータの角をせっせと丸くしなければなりません。


つまり私もジョブズのわがままに振り回されてる末端の一人で、僭越ながら日々ジョブズに腹を立てております。
私は元システムエンジニアでもあります。
ジョブズに無茶振りされた部下達の「お前は何も作れないくせになんなんだよ!」感もよくわかります。
でも無茶振りって、それに応えてみせた時の快感は病みつきになるものがあります。
ジョブズの周りの優秀な人達は、そうやってジョブズに腹を立てながら転がされていったように見えました。


ジョブズはエンジニアではなく、経営者でもなく、アーティストです。
自分の持つ「美しい」の基準を、それが正しいと信じてまったく疑わない。
周りの仲間達に否定されても、世界中のユーザーから「売れない」という結果で否定されても、
自分の「美しい」の価値観を変えません。
小規模の活動でならともかく、これだけ大きなお金が動く世界でそれを信じて貫き通せるのはちょっとした狂気です。
日々ジョブズに腹を立ててる私ですが、その狂気に心臓を掴まれる感覚は、ちょっとだけわかります。

この映画を創った人達も、ジョブズを肯定はしてないけど魅かれてます。

だってパンフレットの角が丸いんですよ。

(イラストと文/たきりょうこ)