By gail

近年、男性の精子の活動が弱くなっており不妊症の原因になっていると言われ、その原因の一つが携帯電話などの電磁波による悪影響であることを示唆する研究が数多くあります。そんな中、携帯電話をよく使う人の方が精液中の精子の密度が低く、不妊の原因になっている可能性を指摘する研究が発表されました。

Habits of cell phone usage and sperm quality - does it warrant attention? - Reproductive BioMedicine Online

http://www.rbmojournal.com/article/S1472-6483(15)00300-4/abstract

Technion finds link between cellphone use & low sperm count

http://www.geektime.com/2016/02/03/technion-finds-clear-link-between-cellphone-use-and-low-sperm-count/

イスラエル工科大学のAriel Zilberlicht博士らの研究グループは、携帯電話の使用が精液の質(精子の活動性)にどのような影響を与えるのかを調べるために、25歳から51歳までの男性106人の被験者の精液を調査しました。調査では、精液の質に関わる要素として、携帯電話での通話、充電、端末との距離ごとに対照群が設けられ、「1日に1時間以上通話するかどうか」「通話中に充電した状態かどうか」「充電するときに股間から50センチメートル以上離れているかどうか」にグループを分類した上で精液の質を測定しています。

結果は、1日に1時間以上通話する人や充電しながら通話する人は精子の密度が低く、相対的に精液の質が劣っていたとのこと。その一方で、携帯電話と股間までの距離の違いは、通話時間や充電の有無という要素と比べると精液の質に大きな影響を与えなかったそうですが、50センチメートル以下の距離で携帯電話を使用する人の精液の方が、端末との距離を取る人に比べると精液の質は悪かったそうです。



By Iqbal Osman

調査結果からは、「1日に1時間以上通話し、そのときに受電中である人」は精液の質低下による不妊のリスクが2倍であることが判明。Zilberlicht博士は、スマートフォンや携帯電話の使用と精液の質低下には明確な因果関係があるとした上で、「携帯電話での長時間の通話は避けるべきで、できるならばヘッドセットを使って通話するのが良い。また、充電しながらの通話もやめるべきで、充電する場合は近づけるのを避けて、なるべくなら電源をOFFにしてから充電する方が望ましい」と述べています。

この結果から、研究グループは携帯電話の長時間の使用と精子の質低下には明確な因果関係があると結論づけており、さらに被験者の数を増やした大規模な調査の必要性がありそうだと考えています。