第33回全農 日本カーリング選手権(2月6日〜13日)が青森県のみちぎんドリームスタジアム(青森市スポーツ会館)で開催される。

 女子の本命は、ディフェンディングチャンピオンの北海道銀行フォルティウスだ。

 今シーズンが始まってすぐ、パシフィックアジアカーリング選手権(PACC)日本代表決定戦(2015年9月)では、ロコ・ソラーレ北見(LS北見)に敗戦。代表の座を譲ってしまった。しかし、それで開き直った。

「逆にみっちり強化の時間が取れた」とスキップ・小笠原歩が語るように、10月から2カ月におよぶカナダ遠征を敢行し強化を図ってきた。その結果、12月に行なわれた軽井沢国際では、前回の世界選手権(2015年3月/札幌)で優勝したスイス代表や同3位のロシア代表から白星を挙げ、決勝では宿敵・LS北見にリベンジを果たして頂点に立った。

 年が明けて1月には、スイス・ベルンで開催されたInternationaler Berner Damen Cupに出場。5位入賞という結果を残した。さらに、世界のトップカラーだけが出場できるカーリング界の祭典、コンチネンタルカップ(北米代表vs世界代表/アメリカ・ラスベガス)にも参加。世界レベルで調整を続け、今大会に向けてきっちりピークを持ってきた。

 チームの構成は、ファースト=近江谷杏菜、セカンド=小野寺佳歩、サード=吉村紗也香、スキップ=小笠原、そしてフィフスに船山弓枝。この陣容となって2季目を迎え、安定感は増すばかりだ。

「もう10年、(現メンバーで)やっている感じ。成長している実感は十分に得ています」と、小笠原。大会連覇へ向けて、視界は良好だ。

 対抗は、LS北見。チーム結成から5年、国内主要大会では常に表彰台には上がってきたが、代表権や栄冠獲得にはあと一歩及ばなかった。そのため、「シルバーコレクター」と揶揄(やゆ)されることもあったが、今季初めのPACC日本代表決定戦では北海道銀行にも3連勝で全勝優勝。ついに頂点に立った。

 そして、国内初制覇の勢いに乗って、11月のPACC(カザフスタン・アルマトイ)でも結果を出した。日本勢として10年ぶりの優勝を遂げて、3月の世界選手権出場枠を日本に持ち帰ってきた。

 LS北見は昨春、主将でスキップの本橋麻里が妊娠を発表。その穴を埋める形で、日本選手権4連覇(2011年〜2014年)を果たした中部電力のスキップ・藤澤五月が電撃移籍してきた。その藤澤と、2014年ソチ五輪後に北海道銀行から移籍してきたサード吉田知那美がうまくかみ合って、チームに勝負強さが備わった印象だ。

 また、10月に男児を出産した本橋は、すでにアイスに復帰。彼女が加わることで、さらなるチーム力アップも見込める。

 北海道銀行には軽井沢国際で敗れたものの、前述のPACC日本代表決定戦や、ワールドカーリングツアーなどを含めた対戦成績では、今季勝ち越している。「相性から言えば、LS北見のほうが有利」という関係者の声も多く、LS北見が再び北海道銀行を退けて、女王の座に就いてもおかしくない。

 ただ今大会は、この"2強"北海道銀行とLS北見の一騎打ちとは言い切れない。富士急(元チームフジヤマ)、ヒト・コミュニケーションズ、札幌学院大などが、"2強"を脅かす存在になりそうだ。

 富士急は、昨年の大会で3位。その際には、リーグ戦でLS北見から勝利を奪っている。その後も着々と力とつけていて、軽井沢国際では北海道銀行にもリーグ戦で勝利。ここ1年で"2強"に唯一土をつけたチームであり、虎視眈々と上位進出を狙っている。

 昨年大会4位のヒト・コミュニケーションズは、激戦の北海道ブロックを勝ち抜いてきた。昨年8月のどうぎんカーリングクラシックでは、LS北見から勝利を奪うなど、地力の高さは証明済み。ショットがつながれば、メダル圏内に入る可能性は十分にある。

 ユニバーシアード日本代表の札幌学院大も、北海道ブロックを勝ち上がって日本選手権の舞台に駒を進めてきた実力のあるチームだ。妹背牛町(もせうしちょう)の幼馴染4人が12年前に結成したチームで、コンビネーションのよさでは他に引けを取らない。軽井沢国際では、ロシア代表から金星も奪っているだけに、今大会の"台風の目"となって波乱を起こすかもしれない。

 今年の日本選手権は、世界を知り、世界と互角以上の戦いを演じてきた好チームがそろった。ここ数年の中では、最もハイレベルな大会になったと言っても過言ではない。

 熾烈な争いを前にして、北海道銀行の小笠原が「ここ数年、国内にいいライバルがいる。ここでしっかりと勝って世界に挑みたい」と力強く抱負を述べれば、LS北見の藤澤も「もっともっと世界のチームと試合をしたい。そのためには、まず日本選手権で結果を出したい」と譲らない。

 頂点に立つのは、北海道銀行か、LS北見か。あるいは、思わぬチームの台頭があるのか。3月の世界選手権(カナダ・スウィフトカレント)、11月のPACCに出場する日本代表の座も争うことになる、注目の戦いから目が離せない。

竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro