100人中3〜4人が発症するといわれるPTSD 心の傷を治療する PTSDの治療法 ってあるの?

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東日本大震災後に増加したといわれているPTSDですが、 PTSDの治療法 にはどんなものがあるのでしょうか?

日常的に使われている「トラウマ」という言葉は、生死にかかわるような危険な目に遭う、ひどい事故を目撃する、といった経験に強い衝撃を受けることで負った「心の傷」のことです。

「PTSD」とは、心的外傷後ストレス障害(PostTraumatic Stress Disorder)の頭文字をとった言葉で、トラウマの記憶が繰り返し思い出され、当時と同じような恐怖や苦しみを感じ続けるという疾患です。

 PTSDの治療法 :大事件のあとに注目を集めたPTSD


程度の差はあれ、誰もが日常の中で悲しいことや恐ろしいことを経験します。
通常は、数週間のうちに恐怖や苦しみが薄れ、記憶が整理されてその体験が「過去のもの」として認識されるようになります。

ところが、PTSDの場合はトラウマの記憶が1か月以上想起され続け、さまざまな症状を伴って生活面にも影響を与えます。

日本では、1995年に起こった阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件のあと、被害に遭った人々がPTSDと診断されるケースが増え、一般にも注目されるようになりました。

 PTSDの治療法 :青年の100人中3〜4人が発症する!?


WHO(世界保健機構)の調査よれば、日本人が障害にPTSDを経験する確率は1.3%で、20代から30代前半では3.0〜4.1%といいます。青年期の男女100人のうち3、4人はPTSDになる計算です。

PTSDは生死にかかわるような危険を体験したり目撃したりしたことで発生します。その発症率は、その恐怖・苦痛の体験の重症度によって上がります。

ただし、同じ体験をしてもPTSDを発症する人とそうでない人がいます。過去に精神的な病気の経験がある、虐待などのトラウマの経験を持っていると発症しやすいといわれています。

また、同じ被害を受けても男性より女性のほうがPTSDになりやすいとされています。

 PTSDの治療法 :被害後のサポート状況が慢性化に影響


PTSDの症状が起こった場合でも、その患者の多くは1、2か月のうちに自然に治ります。その一方で、長期にわたって症状に苦しめられる人もいます。

したがって、発症の原因だけでなく慢性化する理由についても考慮する必要があります。PTSDが慢性化する要因としては、性別や遺伝的なものも無関係ではありませんが、最も重要なのは被害を受けた後のサポートだといわれています。

とくに、被害の相談をした際に心ない対応をされるなどすると、それが二次的なトラウマとなって回復を妨げることにつながります。

それ以外の要因としては、飲酒・喫煙の増加といった生活習慣の悪化のほか、カフェインの摂取も関係してきます。

カフェインは基本的には気分を高揚させますが、不安があるときにはかえって不安を強めてしまう場合もあるので注意が必要です。

 PTSDの治療法 :PTSDの人に見られるさまざまな症状


では、PTSDになるとどんな症状が現れるのでしょうか?
PTSDになったからといって、いつも不安に悩まされていたり、暗い表情を浮かべているわけではありません。

多くの人は、トラウマを忘れて普段どおり振る舞おうとします。そうした中で、急に恐怖感や悲しみに襲われたり、涙を流したり、ぼんやりとして、心ここにあらずといった状態になったりします。

また、被害を受けたことを思い出させるきっかけに触れた際に、急に情緒不安定になることもあります。「再体験症状」と呼ばれるものです。

さらには、自分に対する自身や周囲への信頼を失う、将来への希望を持てない、といったネガティブな感情や考えにとらわれがちになります。

 PTSDの治療法 :回復に必要なのは保護的状態の維持


PTSDの治療で最も大切なのは、患者を心理的に保護することと、自然の回復を促すことです。保護というのは、安全・安心・安眠の確保を指します。

症状がそれほど重くない場合は、家族やかかりつけの医師との相談のうえ、保護的な状態をキープして、回復を見守るのも有効です。

数か月を経ても回復しない場合は、専門的な治療が必要になります。治療法は薬物療法と非薬物療法に大きく分けられます。

薬物療法ではSSRIという抗うつ剤が用いられ、非薬物療法としては主として認知行動療法が用いられます。認知行動療法の代表的なものして、「持続エクスポージャー療法」が挙げられます。

これは米国学術会議でも十分な効果があると認められた治療法で、安全な治療の中でトラウマの体験を思い出させ、患者をトラウマの恐怖に徐々に慣れさせていくというものです。

PTSDから回復していくうえで大切なことは、患者が自分の症状をよく理解することです。被害に遭ったことや、その後の不安や気持ちの変化について、「自分はおかしくなったのではないか」と感じているケースがしばしば見られます。

しかし、それは同じ目に遭った人には誰にでも見られる正常な反応です。適切なケアや治療を受けて恐怖や苦しみから解放されることが、自分にとっても周囲の人たちにとっても重要といえます。

執筆:Mocosuku編集部