中国国営の新華通信社は4日、中国共産党と中央政府が最近になり発表した「定年退職した幹部に対する作業の強化改善のための意見(以下、『意見』」と題する文書についての解説記事を発表した。「意見」は、退職幹部に対して、「宗教を信じることを明確に禁止する」などの内容を盛り込んだ。(イメージ写真提供:(C)greir/123RF.COM)

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 中国国営の新華通信社は4日、中国共産党と中央政府が最近になり発表した「定年退職した幹部に対する作業の強化改善のための意見(以下、『意見』」と題する文書についての解説記事を発表した。「意見」は、退職幹部に対して、「宗教を信じることを明確に禁止する」などの内容を盛り込んだ。

 中国では、組織構成員としての「幹部」の概念が日本よりも広い。おおむね「何らかの肩書」を持てば、幹部の範疇に入ると考えてよい。「意見」が対象とする「定年退職した幹部」の比率は相当に高いことから、事実上、「公的な仕事からは定年退職した共産党員全員」を念頭に置いたと考えてよい。

 中国で「違法ではない宗教行為」は認められている。実際には制限が大きく宗教活動に当局が露骨に干渉しているが、形式上は「宗教信仰の自由」が保証されている。ただし、共産党員は「宗教とマルクスレーニン主義は両立しない」などとして、信仰が禁止されている。習近平政権が発足以来、共産党は党員に対する「信仰禁止令」を何度か発表している。

 新華社によると、新たに発表された「意見」では、宗教を信仰することと、宗教活動に参加することが「明確に禁止された」という。定年退職した幹部党員も、「カルト組織との闘争を堅持」することが求められた。

 「意見」は、「党員が、ある種の民族風習の活動に参加することと、宗教を信じることを区別することに注意せねばならない」とも要求したという。

 中国に限らず世界各国の共産党には「共産党こそが新しい社会を築く先頭を進む」と考える傾向が強い。しかし、共産党の考え方を全民衆に強要する「極左主義」はこれまで失敗を重ねており、「遅れた考えは、世の中が進化するにつれ人々の支持を失い、社会から消えて行く」として、一定範囲で容認する場合が一般的だ。

 宗教も、共産主義者にとっては「消えて行くべき遅れた考え」であるはずだが、中国では近年、宗教がむしろ盛んになっていると見られる。2000年ごろまでに、全国から信者が集まるようになったあるチベット仏教の寺院の責任者は「社会の急激な変化により、心に深い傷をおった人が増えた。新たに入門する信者は、女性の方が圧倒的に多い」と説明してくれた。

 共産党が「宗教の浸透」に危機感を持っていることは、確実だ。

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◆解説◆
 上記にある「民族風習と宗教信仰の区別」は、中国共産党の従来からの主張だ。実際には「風習と信仰」は切り離しにくい面があり、共産党はその場その場で目的達成のために都合のよい解釈を示してきたとも言える。

 例えば、食料配給を実施していた1990年代前半まで、イスラム教信者が極めて多いウイグル族に対しては、豚肉の配給を行わず、代わりに羊肉や牛肉を優先的に配給した。

 イスラム教徒が豚肉を食べないのは、「宗教上の定め」によるが、共産党としては「宗教に配慮した」とは言えないので、「民族の習慣を尊重」と言い換えた。イスラム教徒への配慮は、中東諸国などイスラム諸国との関係構築を重視したからとされている。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)greir/123RF.COM)