「精力アップのために食事は欠かせません。実際、亜鉛やたんぱく質を多めに摂取することで、男性ホルモンの分泌もよくなります。ただ、一つ注意があります。精力を付けようとして“こだわりすぎない”ことです」
 こう語るのは、性感研究の第一人者で医学博士の志賀貢氏だ。

 本コーナーでもこれまで数々の“精力料理”を紹介してきた。それらは間違いではない。
 「しかし、いまのシニア男性はある意味、真面目でストイックなんです。亜鉛が効果的と聞けば毎日、亜鉛を摂取しようと頑張ってしまう。でも、こだわりすぎると必ずどこかで挫折をするんです。それで“亜鉛を摂っていないから最近の俺はダメだ”と落ち込み、余計にセックスから遠ざかるんです」

 コレを食べておけば大丈夫、コレを摂取し始めたら一気に勃起力が上がった…などなど、様々な情報が飛び交う時代だけに、ついつい“俺も頑張る!”と気合が入ってしまう。しかし、志賀氏は言うのだ。
 「多少、意識する程度で大丈夫なのです。それよりも大事なことは、ちゃんとした食事を摂ること。一時期流行った“炭水化物抜きダイエット”などはもってのほかです。確かに炭水化物を抜けば体重は落ちて痩せますが、パワーも失うんです。勃起にはパワーが必要なため、逆効果になるんです」

 もちろん、炭水化物の摂りすぎは脂肪を増やすので要注意だ。
 「朝と昼はちゃんとご飯などの炭水化物を食べて、夕食はご飯を抜く程度で十分なんです。何事も一気に変えようとしてはダメです。急がば回れ、という諺もあるように、ジワジワと自分の能力を高めていくことが一番の近道です」

 ED治療に関しても同じなのだ。それどころか、女性と会う約束があれば、いつも以上にガツガツ食べておくべきだという。
 「成人男性が1日に必要なカロリーは2200キロカロリーほどです。セックスをする前はこれをオーバーするぐらい食べたほうが、勃起力も強くなるんです」

 人間が動く源はエネルギーである。そのエネルギーこそがカロリーであり、これが不足しては本来の力を発揮できないのだ。
 「私の知人に70代ながらも今も若い女性と楽しんでいる男性がいるんですよ(笑)。彼もまさにこのタイプで、とにかく食べる。女性とホテルに行くときも、おにぎりやパスタなど、炭水化物を買い込んで持っていき、1回戦が終わったら、また食べるそうです。なんでも、セックスをすると腹も減るので食べずにはいられないとか。まさに“腹が減っては戦もできぬ”なんですね」

 逆に危ないのは、精力アップ=亜鉛とこだわりすぎて、毎朝、亜鉛のサプリだけを摂取すること。これではカロリー不足となり、下半身も元気にならない。
 「しっかり食べて、たまに亜鉛も摂っておく。食事をする際は、たんぱく質が多めのメニューを選ぶ。そして、一番大事なのはちゃんとカロリーを摂ることです」

 もし体型が気になるのならば、運動をするべし。シニア男性の間でもダイエットが広まりつつあるが、だからこそ食うことの大事さを今一度、見直す時ではないだろうか。

志賀貢
医学博士。内科医として診療する傍ら、260作以上の小説やエッセイを執筆。また、性感研究の第一人者で『かなりHな夜の教科書』(河出書房新社)など、医学的見地に基づいたセックス&口説き術にまつわる著書も多数ある。