専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第40回

 みなさん、ゴルフのラウンド中、どのようなテンションでプレーしていますか?

「今日こそ、ベストスコア更新」と鼻息荒く、額に血管を浮かべながら、一心不乱にマン振りし続けるのも結構でしょう。

 一方、二日酔いの顔をしながら、最近起きた芸能ニュースを話題にして、「ベッキーは、今後どうなるんだろう?」「なんなら、ごたごたしていたSMAPのメンバーに入れてもらえばいい」などと、訳のわからぬことを言って、プレーするのもまた楽しいかと思います。

 お喋りのテーマは、各自の好みですから「勝手にどうぞ」と思いますが、個人的にはゴルフから話題が遠ければ遠いほど、好成績を残せるような気がします。つまり、くだらないことをネタにして、冗談を言っていたほうが、緊張も和らぎ、ナイスショットの確率が増すんじゃないか、と。

 そうやって、ゴルフと冗談が見事に融合したのが、おやじたちが生み出した"ゴルフギャグ"というものです。

 どういうものかというと、例えばアプローチショットを打つとき、芝生にウエッジがぶつかって振り抜けない、俗に言う「噛んだ」状態になるときがあります。そのとき、おやじたちは「神田正輝(かんだ・まさき)したよぉ」と言うわけです。

 ベタベタの表現ですが、だいぶ前にゴルフ番組を見ていたら、俳優の神田正輝さん本人がざっくりとやってしまい、自ら「神田正輝だよぉ〜」って叫んでいました。これには、大笑いしましたね。

 同様に人名ギャグでよく出てくるのは、マン振りしたつもりが、ダフッて地面を打ったときです。そういうときは、「山本力んだ」と照れながら言うのが定番です。元ネタはそう、歌手の山本リンダさんです。が、今の若い子たちは知らないでしょう......。

 知らないついでに言うと、昔活躍したプロゴルファーの名前もときどき登場します。打ったボールが左に曲がるのは「フック」ですが、「左に巻く」とも言います。だから、誰かがボールを左に打ったら「巻いたね」と言うんですが、そのときについ「真坂潔(まいた・きよし)出たぁ〜」と、言ってしまいがち。ちなみに、真坂プロ本人のボールは巻きません、って当たり前ですね。

 最近では、左に引っ掛け気味に巻いてしまったとき、「おお、マキロイ」と言って嘆いている若者プレーヤーがいるとかいないとか。

 何にしても、こういうおやじギャグは、テンポが大事なんですよね。その事象が起きたら、間髪入れずに脊髄反射的に言うのが、ポイントかと。

 打ったボールが転がって、排水溝に入った瞬間、即座に「さらば排水溝」って言う感じでしょうか。これは、名馬ハイセイコーの引退記念として発売された曲名『さらばハイセイコー』から拝借したものですね。

 グリーン上でボールがカップに入るとき、大きな弧を描きながらカップの上のふちから入った場合、「プロライン」と言います。そのときは、「ナイス〜、プロライン洋子ぉ〜」と言ってあげましょう。これは、相当前のアイドル、キャロライン洋子さんがネタ元です。

 古過ぎるネタは、まだまだ続きます。

 パターを打つとき、どれぐらいボールが左右に切れるか、そのラインについてキャディーさんに相談するときがあります。その際、キャディーさんに「カップ半分弱、切れますかね」と言われたら、そこでは瞬時に「范文雀(はん・ぶんじゃく)か」と、返さないといけません。大昔の大女優さんの名前ですが、これは発音がまったく一緒なので、ギャグを言っても相手に伝わらないことが多いです。あしからず......。

「おやじギャグって、古いものばっかりじゃん」と言う方もいますので、最近のものを少々ご紹介しましょう。

 カップの真ん中へボールが転がっていって、カップの壁に当たってカランッと入ったとしましょう。そういう素晴らしいパットをした方には、「壁ドン」と言って称えてあげましょう。

 あと、テークバックをして、ショットをするまでの一連の動きをするとき、昔は「チャーシューメーン」と言ってリズムをとっていましたが、最近は「きゃりーぱみゅぱみゅ」と言っている人がいます。けどこれ、リズムはいいかと思うのですが、舌噛みそうですね。

 そして最後、プレーのあとのお約束のリアクションと言えば、これです。

「今日はどうだった」と聞かれたら、「大叩き詠一だよぉ〜」と言って、ぼやきましょう。そのうえで、「前半は良かったけど、後半は落ちっぱなしのナイアガラよ」と付け加えれば完璧です。ネタ元は、もちろんシンガーソングライターの大滝詠一さん。彼が設立したプライベートレーベルが「ナイアガラ」でしたね。

 ゴルフをしている若者のみなさん、あなた方も将来はおやじになるので、今のうちに"ゴルフギャグ"をたくさんこしらえて、ギャグセンスを磨きましょう! たとえ滑っても、堂々と言えるようになって、一人前です。

 そういえば、"ゴルフギャグ"がうまい人って、スコアは今イチなんですよね。天は二物を与えず、なんでしょうか......。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa