中国メディアの環球網は3日、南京大学国際関係研究院の朱鋒院長による、日本の対中戦略を分析した論説を掲載した。中国では日本の「軍国主義が復活する可能性がある」との見方をする人が多い。朱院長は「軍国主義」という安直なレッテル貼りでは、日中の対抗が熾烈(しれつ)化した現状に対応できないと批判した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディアの環球網は3日、南京大学国際関係研究院の朱鋒院長による、日本の対中戦略を分析した論説を掲載した。中国では日本の「軍国主義が復活する可能性がある」との見方をする人が多い。朱院長は「軍国主義」という安直なレッテル貼りでは、日中の対抗が熾烈(しれつ)化した現状に対応できないと批判した。

 朱院長は、日本が再び軍国主義になるには3つの国内条件があると指摘した。まず、「皇国思想の復活」だ。次に「民主体制が崩壊し、軍人が権力を握る」こと。さらに「日本の民衆が軍事拡張こそ日本の生存の道と考えること」という。

 朱院長は、3条件とも現実化する可能性はあまりなく、「日本で軍国主義が復活する可能性は非常に小さい」と論じた。

 日本の「地位」については、「完全な意味の大国ではないが、80年代半ばからは再び、大国が備える潜在力を持つようになった」と主張。さらに、中国が台頭し、歴史問題についての見解の相違や価値観の違いが際立つようになれば、日本側が「安全上の苦境」と認識するのは必然と論じた。

 さらに、日本側の対中認識の変化は1990年代後半には始まっており、安倍政権になってからは表面化しただけとの考えを示した。

 そして、現在の日本は外交とその他の戦略で「中国に挑戦し対抗する」ことを進めており、中国は今後、長期にわたって「深刻な戦略的圧力」を受けることになると主張した。

 安倍政権については、国際的に中国を「妖魔化」しようとしていると主張。南シナ海での中国の行動について「現状を変える」との“レッテル”を張り、中国がかつての軍国主義国家やファシズム国家のように「武力で現状を変更」と見なしているとした。
 朱院長は国際社会における日中の現状について「日本はいたる所と通じている。中国は乗り出せない」とも表現した。日本の戦略が成果を収めており、中国は国際社会で支持を得られていないとの認識だ。

 朱院長は、安倍政権の狙いは平和主義憲法の放棄であり、「中国ファクター」により民衆の間で憲法修正への支持が高まることを狙う意図があるとの考えを示した。

 さらに、中国にとって苦痛である過去の歴史や、依然として国際関係を大きく束縛する「歴史問題」にもとづいて日本を「概念的」に扱うことは、「すでに時代遅れの認識」と主張。対日関係をどう扱うかが、「中国が大国として台頭することの試金石」との考えを示した。

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◆解説◆
 「軍国主義化」という単純な概念ではなく、日本の戦略をきちんと分析して理解すべきというのは、中国人専門家としては当然の発言だろう。ただし朱院長は中国の取るべき道に就いて、具体的には語っていない。あえて「ぼかしている」ようにも見える。
 朱院長の論旨によれば、日本が仮に憲法第9条を修正したとしても、それは「日本で軍国主義が復活」したことを意味しない。つまり、日本がむやみに中国に戦争を仕掛けると考えるべきではない。とすれば、中国にとって最も困ることは何か。恐らくは、日本が米国の軍事行動に「協力」することが、飛躍的に容易になることだろう。

 朱院長の論説は、「憲法改正が目的である安倍政権の“策略”に乗せられるべきではない」と主張しているようにも読める。とすれば、対日問題や南シナ海の問題で「国際的な反発を高めるような行為は得でない」との結論も導きさせることになる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)