日銀が1月末に打ち出した「マイナス金利」を軸とした「第3弾バズーカ金融緩和」が、逆回転し始めた。金融市場でリスク回避の動きが早くも再燃したからである。超低金利にあえぐ債券市場は運用難となり、「劇薬」の副作用が及び始めた。写真は日銀。

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日銀が1月末に打ち出した「マイナス金利」を軸とした「第3弾バズーカ金融緩和」が、逆回転し始めた。金融市場でリスク回避の動きが早くも再燃したからである。超低金利にあえぐ債券市場は運用難となり、「劇薬」の副作用が及び始めた。

2月3日の東京株式市場でマイナス金利は全面安の展開で、終値は前日比559円安の1万7191円。下落幅は今年3番目の大きさで、節目の1万7500円を大きく下回った。原油先物相場が再び1バレル30ドルを下回り、投資家心理が悪化。円相場が1ドル=119円台半ばに上昇したことも嫌気された。

国内主要企業の15年4〜12月期決算で16年3月期の見通し下方修正が相次いだことも、売り圧力となった。黒田東彦日銀総裁が主導した、過去2回の異次元金融緩和は「バズーカ」と呼ばれ、大幅な円安・株高につながった。3弾目となる今回の「マイナス金利」政策は早くも息切れしてしまった感がある。3日の東京市場で目立ったのは海外投資家の売りで、市場ではアベノミクスの先行きに懐疑的な声も出始めた。

米追加利上げの先行きを巡る不透明感も、日銀の円安期待を阻害する。米国の景気見通しにも、にわかに暗雲が漂い始め、今年3〜4回と予想されていた米国の利上げシナリオが崩れ、「1回も利上げできないのでは」との声も出ている。日銀のマイナス金利政策にもかかわらず、日米の金利差が拡大せず、円安にはつながらないと見られるからだ。世界的な金融経済の激震時に一国の中央銀行が動いても効果は減殺される。

一方、「マイナス金利」は劇薬であり、債券市場に悪影響が及び始めた。金利消滅による債券市場の機能低下が際立っており、多くの市場参加者は超低金利による運用難にあえいでいる。

金融緩和の手段が限界に近いとの見方に対し、黒田日銀総裁は3日の東京都内での講演で、「果たすべき目的のために必要であれば、そのために新しい手段や枠組みを作っていけばよい。追加緩和の手段に限りはない」と反論したが、苦し紛れの感は否めない。同総裁は同時に、原油安や金融市場の動揺で「企業の心理の改善や人々のデフレ心理の転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクは増大している」と述べ、弱気の認識も示した。(八牧浩行)