ロボットに触覚を与える超小型センサ。質感のデータ化で触覚の伝送やVRでの活用も視野

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国際ナノテクノロジー総合展 nano tech 2016より。

ナノテク・先端部材実用化研究開発プロジェクトは、ロボットに触覚を与える小型センサ技術の展示を行なっていました。

接触対象の状態を判断し、ロボットの作業性と安全性の向上を図る目的で開発中のセンサ技術。ハードウェアとしてはマイクロカンチレバーをシリコン基板上に配置してエラストマ(弾性素材)で封止した構造とし、ロボットの指先など対象と接触する部位に実装することで、人間並みの触覚機能を持たせられるといいます。

【ギャラリー】NEDO 機械に触覚を与えるセンサ (7枚)


センサの動作確認用デモ

シリコン基盤のサイズは5mm四方で、カンチレバーを含むセンサ部分のサイズは1mm前後。基板上に配置された3つのカンチレバーはわずかに湾曲した形状をしており、エラストマに変形を伴う負荷がかかると、カンチレバーの傾きを検知します。縦向きの『垂直力』と、横向きの『せん断力』を区別して検出可能で、3次元的なベクトル力をリアルタイムに計測できます。

上記のセンサ構造と機械学習アルゴリズムを組み合わせることで、従来の圧力センサでは識別できない、『滑り』の状態を含む物体の把持状態を識別できるようになりました。

本センサの現時点における主な想定用途は医療・介護分野。

人間と直接関わる役割を持ったロボット、特に介護ロボットの場合は、人間の全体重を支えてベッドから車椅子に移乗させたり、リハビリのための姿勢補助といった力仕事がメインとなります。実運用時の安全性が優先される介護ロボットの研究開発においては、接触時の違和感や動作時のショックを緩和したり、作業時の力加減を間違えないために、対象の接触状態を検知する力覚センサーの搭載が必須です。すでにトルクセンサや触覚センサを用いた介護用ロボットも開発され、研究用プラットフォームとしての活用が始まっています。

なお、本センサで能動的に対象物をなぞることで、物体表面の摩擦や硬さといった質感の定量的な計測にも役立つ可能性があるとしています。人間の感じる質感は主観的で曖昧なものですが、これを定量的に計測・評価しデータ化することによって、感性工学や仮想現実における触覚質感の再現、触覚をネットワーク越しに伝送することによる新たなコミュニケーションの実現も見込めるかもしれません。

説明員によれば、将来的には義肢(義手・義足)にセンサを搭載することで、触覚を再構築することも視野に入る可能性がある、とのことです。