国立劇場の歌舞伎舞台に潜入したらすごい装置がいっぱいだった!★編集部レポ

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舞台が回転したり、役者がいろんな場所から登場したり…演目によってさまざまな演出がなされる歌舞伎。その多彩な表現を可能にしている秘密は、歌舞伎が上演される劇場の複雑な舞台機構にある。その装置について詳しく知るべく、今回編集部員は国立劇場のバックステージツアーに参加してきた。劇場の方が各装置を丁寧に解説してくれたので、そこから特に知っておきたいチェックポイントを5つご紹介。みんなも舞台の構造や知識を知れば、今後の歌舞伎鑑賞がもっと楽しくなるはず。◆【チェックポイント1】廻り舞台


すべてヒノキ材でできている舞台を大きく円形に切り、回転させるようになっている。歌舞伎で考案された装置で、大道具が置いてある状態でもそれごと動かすことができる。だから、舞台の転換を速やかに行うことができるというわけ。観客の目の前で舞台がありありと動くので、場面の変化をみんなが目の当たりにすることができるのがおもしろいところ。舞台の床はさらに一部切り抜かれ、その床を昇降させる「セリ」という装置も。それにより役者や大道具をセリ上げている。

◆【チェックポイント2】大道具


山・川・海・野原などの背景や、建物や木、岩などの大がかりな装置は「大道具」。(これとは別に刀や鎧などの武具や家の中に置かれている家具、駕籠(かご)などの乗り物は「小道具」になる。)歌舞伎の実際の舞台は客席から見えている以上に広く、これからの道具が舞台のすみに用意されていて舞台上に出し入れを行っている。大道具の1つひとつを間近で見ると丁寧に作られているのがよくわかる。

◆【チェックポイント3】黒御簾


舞台の下手(しもて)(※)側にある、黒いすだれが下がっているボックスのこと。祭り囃子の賑やかな音楽や、動物の声、鈴の音、雨雪の音、幽霊が出演する音などなど…この中で芝居の際に流れる音楽や効果音が演奏されている。歌舞伎の音楽はすべて生演奏。演奏されている様子は客席からは見えないけど、中からは外の様子を見ることができるので役者の動きや場面をしっかり把握しながら演奏することができる。

※下手…客席から舞台に向かって左側

◆【チェックポイント4】花道


舞台に向かって左側の観客席に続く通路。この道は舞台の一部でもあり、役者が入退場を行う。時に役者が立ち止まって花道上で演技をすることもあるり、その定位置を「七三」という。花道を7:3に分け、舞台から3分の位置にあることが由来だ。その「七三」にあるセリは「スッポン」といい、役者がそこから突然現れたり消えたりする演出に使われる。役者が登場する際に、まず首から見えることからその名前が付いたよう。

◆【チェックポイント5】奈落


「本舞台」や「花道」などの床下部分が奈落。セリや廻り舞台を動かすための装置があり、そこから役者などが登場する。今ではもちろん機械で動かしているけど、人力で動かしていた時代もあり、それを想像するとぞっとする。名前の由来は仏教用語の「地獄」を意味する言葉で、同様に深く暗い場所だから。国立劇場ではこの地下空間の広さを生かして、大道具の作製や置き場としても利用されている。