自転車世界選手権で初「メカニカルドーピング」発覚。フレームに隠しモーター、選手は故意を否定も罰金2400万円の可能性

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国際自転車協議連合(UCI)が、1月30日に開催された自転車の世界選手権レースにおいて電動アシスト機構を隠して搭載した競技用自転車が発見されたと発表しました。世界選手権クラスのレースでの不正な電動アシストの使用発覚は史上初とのこと。乗っていた選手はその自転車を「自分の自転車ではない」として故意ではなかったと主張しています。

隠しモーターの搭載が発覚したのは、ベルギーで1月30日に開催されたシクロクロス競技の世界選手権。U-23クラスに地元ベルギーから出場した女子選手の自転車でした。

問題の自転車はメカトラブルによってレースを途中棄権したあと、車検のためオフィシャルによって回収されたときに不正が発覚しました。

しかし、不要なものは全て削ぎ落とした競技用自転車のどこにアシスト機構を組み込んだのかが気になるところ。UCI は不正に仕込まれたからくりについて明らかにしていないものの、ベルギーのメディアはシートポスト内にケーブルを仕込み、その下部にモーターを内蔵していたと報じています。

欧州では Vivax Assist なる隠しモーターアシスト機構が市販されており、これを使っていた可能性を指摘する声もあります。Vivax Assistでは、サドル下のフレーム内にモーターを挿入し、ギアによってペダルクランクに動力を伝達します。またバッテリーはサドルバックもしくはドリンクボトルに隠されます。



なお、自転車情報サイト BikeRader によると、Vivax Assist を組み込んだ自転車はスプリントやヒルクライムで威力を発揮するとされます。

女性選手は問題の自転車について「自分のものではない」と主張しています。この選手によれば、レース前のコース下見の際に、自分とまったく同じ自転車に乗る友人がコースサイドに自転車を置いたままにしており、それをメカニックが勘違いして整備を実施、誤ってレースに使用してしまったとのこと。

いくらなんでもそれでは言い訳として苦しい気もしますが、現在のところこの選手に正式な裁定はくだっていません。もし故意と判断されれば当該レース失格のほか、6か月間のレース出場停止、最高で約2400万円相当の罰金などが課せられる可能性があるとのことです。

UCI はかねてよりこうした不正が行われることを予測しており、今回の発見にも不正機器が発する高周波電波を検出するタブレット端末を使用したとしています。

ちなみにシクロクロスについて説明しておくと、いわば自転車で走るクロスカントリー。1周数km、オフロードの周回コースを規定時間走り続けるというカーレースにも似たルールを採用します。自転車が壊れた場合はピットでの整備や自転車そのものの交換も可能。またコース設定によっては自転車での走行が不可能で、選手が自転車をかついで走る区間もあったりします。

下は不正が発覚したレースのハイライト。コースはかつてF1も開催されたゾルダー・サーキットを一部使用しています。