中国国内の製薬企業会長による「日本で風邪薬を買うのは、中国の製薬企業にとって恥辱だ」という発言が注目を集め、中国メディアのあいだでさまざまな議論を呼び起こしている。なかには、「中国の風邪は外国のものとは違う。外国の薬を飲んでも治らない」といういささか乱暴な論理を振りかざす者もあるようだ。(イメージ写真提供:123RF)  

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 中国国内の製薬企業会長による「日本で風邪薬を買うのは、中国の製薬企業にとって恥辱だ」という発言が注目を集め、中国メディアのあいだでさまざまな議論を呼び起こしている。なかには、「中国の風邪は外国のものとは違う。外国の薬を飲んでも治らない」といういささか乱暴な論理を振りかざす者もあるようだ。

 湖南省の共産党委員会メディア・紅網は1日、「国産の『風邪』に、どうして輸入薬を飲まなければならないのだ」とする評論記事を掲載した。文章は「自国のものより他国のものがいい」という心理的な要因により、中国人が国外で外国製品を買い漁ると解説する一方で、「しかし、風邪薬も外国製品をというのは外国崇拝主義のきらいがある」とした。

 そして、医学的な視点に立てば「風邪のウイルスは多種多様で、急速に変異する。外国人が罹る風邪は、中国人の風邪とは違う可能性があるのだ」と解説。はっきり言えば、外国の風邪薬では『国産』の風邪を治せるとは限らない」と主張した。

 また、「国産品は決して酷いというわけではない」とし、例えば中国伝統薬(中薬)は「国外の薬品には代えられない」価値を持つものであり、中国人が開発した抗マラリア薬・アルテミシニンは途上国の大勢の生命を救い、ノーベル賞が与えられたと説明。国内製品の競争力を高めると同時に、消費者が抱く「外国崇拝」の心理を変えていくことが必要であると訴えた。

 日本で市販されている風邪薬は、おおむね症状を和らげる対症療法的な薬品だ。その症状とは、発熱、せき、鼻づまり、体のだるさといったものだが、日本人が罹る風邪と中国人が罹る風邪では、症状が違うのだろうか。抗ウイルス薬であれば「中国で発生あるいは変異したウイルスに日本の薬が効かない」という可能性はあるかもしれないが、対症療法を主とする市販の風邪薬において、記事の主張は説得力を欠く。

 しかも、記事自身も「ウイルスに対する特効薬はない。病院に行っても良く休んで水を飲めと言われるか、点滴されるか、消炎剤や解熱剤を処方されるのだ」と対症療法であることを認めているから、なおさら可笑しいのである。

 外国製品に走って国産品に見向きもしない現象には、何らかの理由がある。「中国の風邪に外国の薬は効かない」という「宣伝」をするよりも、中国の医薬業界のイメージをポジティブなものに変えるような働きかけをすべきではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)