【日本代表コラム】アジアの頂からその先へ

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▽良くも悪くも、近年の日本らしくない日本だった。初戦の北朝鮮戦にはじまり、特に決勝トーナメントに入ってからは劣勢に立たされる時間が長く、紙一重の試合が続いた。その中で粘り強い戦いを披露し、相手の運動量が落ちる終盤に選手交代で一気に勝負をつける。決勝では、韓国に中盤の主導権を握られたが、我慢に我慢を重ね、それまでの劣勢がウソのような連続得点で終盤に畳みかけた。

◆成長し続けた18日間

▽振り返ると、北朝鮮相手に1-0で勝利した初戦が大きかったように思う。北朝鮮に堅さの見られる序盤にセットプレーからDF植田直通(鹿島)が先制。その後は耐え忍ぶ展開が続いたが、そこを凌ぎ切って勝ち点3を獲得した。その結果もあり、第2戦が終わった段階でグループ首位が確定し、最後のサウジアラビア戦で思い切ったターンオーバーを採用することもできた。

▽また、守勢に立たされながらも先行し逃げ切れた結果が、自分たちの戦いを信じられる1つの指針となり、自信にもつながったように思う。その後も、鬼門の準々決勝・イラン戦(延長戦での勝利)、因縁の準決勝・イラク戦(試合終盤の勝ち越し)と、試合毎に成功体験を重ね、成長し続けたと言えるだろう。その自信や成功体験が、宿敵・韓国との決勝でも選手たちの支えとなり、2点ビハインドからの逆転勝利に結びついた。この決勝も、自信と成功体験として彼らの糧になるはずだ。

◆計算されたコンディショニング

▽そして、そういった戦いを実現させることができた最大の要因は、コンディショニングにある。もちろん、チームとしての共通認識や一体感、手倉森誠監督の采配も素晴らしかったが、リーグ戦を終えた1年間の疲労を個々にチェックして調整し、ターンオーバーを採用。しっかりとした食事を摂り、実力が拮抗した相手に対して常にコンディション面で優位に立てたことは大きかった。それは、試合終盤のゴール数を見ても明らかだろう。これも貴重な成功体験の1つと言える。

◆続いた紙一重の戦い

▽ただ、貴重な成功体験、立ち返ることのできる場所を手にした一方で、ギリギリのところで勝ってきたことも事実。前述したように、ノックアウトラウンドに入ってからは劣勢に立たされる時間が試合を通じて長かった。純粋な個々の能力やチーム力を比較すれば、正直、日本はアジアのトップとは言えない。それは選手たち自身も認識しているところ。リオ五輪までの約6カ月間で、選手個々がどれだけ成長し、チームとして主導権を握る時間を延ばせるかは、1つの重要なポイントになるだろう。

◆熾烈なサバイバル

▽リオ五輪の登録メンバーは、AFC U-23選手権の23名から18名に縮小されることになる。少なくとも、現メンバーから5名は落ちる計算だ。さらにオーバーエイジを採用する可能性も考えられ、今回のメンバーに入ることができなかった選手たちも、虎視眈眈とメンバー入りを狙っている。3月中旬に海外遠征、5月にはトゥーロン国際大会も控えており、所属クラブでのパフォーマンス次第では、今回メンバー外だった選手にも五輪本大会でチャンスは与えられるはずだ。

▽今回のU-23日本代表の選手たちは、GK櫛引政敏(清水→鹿島)、DF奈良竜樹(FC東京→川崎F)、MF遠藤航(湘南→浦和)、MF原川力(京都→川崎F)など、オフの移籍市場で所属チームを移った選手も多い。2016シーズンのJリーグでは、新天地での彼らの動向に注目するのも面白いだろう。リオ五輪に向けた新たな、そして熾烈な戦いは、2月27日に幕を開ける。

◆新天地に挑むU-23日本代表選手

GK 櫛引政敏(清水→鹿島)※

GK 杉本大地(京都→徳島)※

GK 牲川歩見(磐田→鳥栖)※

DF 奈良竜樹(FC東京→川崎F)

DF 三竿健斗(東京V→鹿島)

MF 遠藤航(湘南→浦和)

MF 原川力(京都→川崎F)

MF 豊川雄太(鹿島→岡山) ※

FW 鈴木武蔵(水戸→新潟)◆

※期限付き移籍

◆期限付き移籍からの復帰