AFC U-23選手権で最も株を上げた日本代表戦士はこの3人!

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カタールで開催されたAFC U-23選手権は、決勝で韓国を大逆転の末に下したU-23日本代表の優勝で幕を閉じた。

大会前の前評判は高くなく、試合もハラハラした展開の連続であったが、選手は試合毎に成長した姿を見せ、終わってみれば6戦全勝での完全優勝となった。

スターというスターのいなかった今回の日本。

日替わりでヒーローが誕生したが、そのなかでも大会中に最も評価を高めた3人を決めてみよう。

MF 原川 力(川崎フロンターレ)

「りきに初めて感謝してる」……イラク戦後、殊勲の決勝ゴールを決めた原川に対し、中学時代からお互いを良く知る久保裕也がかけた言葉だ。

中学時代は天才肌の選手だったそうで、レンタル先の愛媛では10番を背負いトップ下でもプレーしている。しかし、京都と代表では基本的にボランチで、これまでJリーグで決めた得点は僅かに1。地味だ、谷間の世代だと揶揄された今回のメンバーのなかでもとりわけ目立たず、大会前、彼に期待する声は全く聞かれなかった。

だがチームの弱点と言われるボランチのポジションで堅実な働きを見せると、準決勝イラク戦の後半アディショナルタイム、五輪出場を決める強烈な左足のシュートを叩き込み、一躍「時の人」に。さらに決勝の韓国戦では後半から投入され、大逆転勝利の呼び水となった。

確かに地味な存在ではあるが顔付きや体格、プレースタイルやボールを持つ姿勢はどことなく中田英寿を彷彿とさせるものがある。

イラク戦でのシュートは、「ジョホールバルの歓喜」で岡野雅行のゴールを生んだ若き中田の左足でのシュートを思い起こさせた。この2つがどちらも「ドーハの悲劇」を払拭し、日本を歓喜に沸かせたのは偶然であろうか。


GK 櫛引 政敏(鹿島アントラーズ)

今大会、最も「驚き」を与えたという点では彼が一番であろう。

清水エスパルスに在籍していた2013年、櫛引は日本代表経験を持つ林彰洋(現鳥栖)からポジションを奪い、五輪出場を目指す代表チームでも正GKに抜擢される。

しかし昨年途中に清水でレギュラーを失うと、代表でもユース年代からエリートコースを歩んできた”柏ユースの最高傑作”、中村航補がレンタル先のアビスパ福岡でセンセーショナルな活躍を見せたことで、ファンの間では中村を推す声が高まっていた。

櫛引か中村か――守護神がどちらになるのかは今大会の注目の1つであったが、残念な形で勝負は決する。中村が直前の負傷により離脱することになったのだ。

こうして守護神として大会を迎えた櫛引だが、実戦から遠ざかっていることもあってかその表情はどこか頼りなさげでプレーもやや不安定であった。しかし、試合を重ねるごとに反応は鋭さを増し、負ければ即敗退が決まる準々決勝イラン戦で好セーブを連発し勝利を呼び込むと、決勝の韓国戦でも逆転に繋がる活躍を見せたのだ。

大会序盤には不安そうに見えた櫛引はいつしか、頼もしさすら感じさせる“好漢”となっていた。

今年は鹿島に期限付き移籍することが決まっており、大ベテラン曽ヶ端準に挑むことになる。代表でも本大会まで中村らとのポジション争いは続くだろう。だが、アジアの頂点に立ったことで自信を付けた櫛引が守護神争いで一歩リードしていることは間違いない。


DF 室屋 成(明治大学)

大学在学中にして唯一今大会の日本代表に選ばれた室屋だが、小学生の頃から南野拓実とプレーし、柴崎岳(鹿島)と同じ青森山田高校に進学。年代別代表の常連でもあるエリートで、もともと評価の高い選手であった。それでも今大会の活躍は特筆に値するものである。

手倉森監督は厳しい日程を考慮し、ターンオーバーで選手を起用した。しかし、室屋は既にグループ突破を決めた後のサウジアラビア戦を除く5試合に先発フル出場。1対1の強さなど攻守に抜群の安定感を見せ、準々決勝イラン戦では豊川雄太の勝ち越しゴールを左足のクロスでアシストした。

室屋は、無尽蔵のスタミナを持ち両サイドバックをこなせること、そして同じ明治大出身であることから“長友2世”と言われてきた。ただ長友が北京五輪に出場した2008年当時と比べ、質・量とも現段階の室屋のほうが上回っているといって言い過ぎではない。AFCは中島翔哉に大会MVPを与えたが、“密度”で評価するならば彼こそが相応しかった。

そんな室屋には大会中、特別指定で在籍しているFC東京が獲得の正式なオファーを送ったことが報じられた。だが今大会のプレーぶりを見ると、親友・南野が誘う欧州へ直接渡っても問題なく活躍できるのではないだろうか。

ハリルホジッチ体制のA代表は、内田篤人の長期離脱で右サイドバックを固定化できていない。室屋が招集される日もそう遠くないことであろう。