1日、東京オリンピック・パラリンピックの主会場・新国立競技場計画案を設計した建築家・隈研吾氏が日本記者クラブで記者会見。設計コンセプトとして、「明治神宮の杜に溶け込むように、木材と植栽をふんだんに使い、五重塔からヒントを得た軒ひさしを付けた」と語った。

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2016年2月1日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの主会場・新国立競技場計画案を設計した建築家・隈研吾氏(東大教授)が、日本記者クラブで記者会見。設計コンセプトとして、「明治神宮の杜に溶け込むように、木材と植栽をふんだんに使い、五重塔からヒントを得た『軒ひさし』を付けた」と語った。また「中国や韓国でも竹や木を使った建築を設計しているが、内陸部に行っても、大工はほとんどおらず木造建築は絶滅状態」と指摘したが、「昨今、奇抜な超高層建築は嫌いだという若い建築家が増えている」と明かした。発言要旨は次の通り。

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建築家を目指した原点は前回1964年の東京五輪。10歳の時、父に連れられ国立代々木競技場に行き、凄いなと思った。当時は建築家という職業も知らなかったが、丹下健三のデザインで当時の建築技術の最高峰。獣医を目指していたが、この経験が人生の転機となった。

英国の建築家ザハ・ハディド氏が選ばれた前回の国際コンペでは参加資格が厳しく、案を出さなかったが、新国立競技場の建設地は事務所への通勤ルート上にあり、神宮の杜を生かそうと思った。明治神宮の杜に溶け込むように、木材と植栽をふんだんに使い、五重塔からヒントを得た「軒ひさし」を付けた。屋根が重なるのは、日本の寺社にみられる伝統建築だ。

屋根は木材と鉄骨を組み合わせ、スタンドはすり鉢状の3層、観客の見やすさに配慮した。高さは49メートルと、旧計画(実施設計段階)の70メートルに比べて低く抑えた

10年ほど前から木を多用した建築を推進している。木材は二酸化炭素を固定し、地球環境に優しい。長持ちさせれば、「森の循環」を取り戻すことができる。しかも木本来の温かさは人間にとって心地よい。新国立競技場では、周囲850メートルの空中回廊「空の杜」や小川の「渋谷川のせせらぎ」などを設け、樹木や水辺も楽しめるようにした。

中国や韓国でも竹や木を使った建築を手がけているが、内陸部に行っても、大工はほとんどおらず木造建築は絶滅状態だ。中国などでも、奇抜で目立つ超高層建築は嫌いだという若い建築家が増えている。私が設計した北京郊外の「竹の家」Great (Bamboo) Wall(2002年)は受け入れられ、北京オリンピックのCMにも使われた。(八牧浩行)