リオ五輪アジア最終予選に関する僕の原稿を読んだ友人が、LINEで連絡をくれた。同世代の同業者である。

「ドーハで背番号16って言ったら、やっぱりゴンさんじゃない?」

 初めてドーハに来た1993年には、ダイヤル回線を使って原稿を送っていた。日本へ電話をするときは、真っ先に時差を計算したものだった。LINEのように身軽で便利な通信機能も、それが無線LANを介してタダで使えるのも、SF映画かアニメの世界だと思っていた。まあホントに、便利になったものである。便利過ぎて困ってしまうことも、確実に増えているが……。
  
 それはともかく、「ドーハ」と「背番号16」というキーワードに結びつく選手が、記憶からすっかり抜け落ちていた。93年のアメリカW杯最終予選で、ゴンこと中山雅史さんが着けていたことを。
 
 今回のリオ五輪アジア最終予選を見た子どもたちは、誰に憧れるだろう。
 ピッチ上でチームの戦術を体現した背番号3──キャプテンの遠藤航か。
 イラクとの準決勝で先制弾を叩き込んだ背番号11──久保裕也か。
 最終ラインで高さを発揮した背番号5──植田直通か。
 リオ五輪出場を決めるゴールを突き刺した背番号7──原口力か。
 
 Jリーグでの活躍度の違いもあって、彼らの一般的な知名度はフル代表に比べて低い。子どもたちの反応は、かなり分かれそうだ。
 
 メディアの注目は攻撃の選手に集まりがちだから、11、10、9、あたりが多いかもしれない。久保と中島翔也、それに鈴木武蔵である。
 
 セントラル開催のサバイバルを勝ち抜いた今回の予選突破は、アトランタ五輪出場と同じくらい価値がある。手倉森誠監督と彼が選んだ選手たちが、日本サッカーの未来をつないだことを、子どもたちが少しでも分かってくれたらいいのだが。
 
 ところで、攻撃陣のなかでは「16」が出遅れてしまった。浅野拓磨だ。
 
 J1のサンフレッチェ広島でスーパーサブを担っている彼は、15年のJ1でベストヤングプレーヤー賞にも輝いている。J1での実績は、攻撃陣で群を抜く。手倉森誠監督の期待も大きかったが、準決勝まではチャンスを生かし切れていない。
 
 前評判の高かった選手が不振に陥るのは、国際大会でしばしば起こり得る。ただ、ドーハでの浅野は「不振」と言われるほど状態が悪くない。そうかと言って、「好調」という表現も当てはまらない。いつ爆発してもおかしくはないが、きっかけを逃したままここまできてしまった、というのが今大会の彼である。

 30日の決勝戦には、鈴木武蔵が出場できない。南野拓実もクラブ事情で離脱している。2トップのコマは久保とオナイウ阿道、それに浅野だけである。韓国との対戦がどのような展開になったとしても、浅野に出場機会は巡っているはずだ。

 大会は決勝戦を残すのみという状況を、「まだあと1試合ある」と考えることができたか、それとも「もう1試合しかない」と追い詰められていたか。韓国戦にどのようなメンタリティで臨むかで、浅野のこれからが変わっていく。登録メンバーが23人から18人へ絞られるリオ五輪への競争は、すでに始まっているからだ。

 韓国と決勝で対戦するという最高の舞台で、背番号16は輝きを放つことができたか──。