岩波は失点シーンを振り返り、「(植田が)行けるかなと思いましたが、自分が出ないといけなかったです」と反省の弁。ポジショニングが悪く、コミュニケーションも不十分だったと振り返った。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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「自分としてはマックスで喜べるという感じじゃなくて、悔しさが上回っています。前半をしのげば自分たちにチャンスがあると分かっていたのに失点してしまった。本当に悔しいです」(植田)
 
「非常に厳しい展開でしたし、自分のところでやられた部分もあったので、ショックは大きかったです」(岩波)
 
 両CBがそう振り返ったように、大逆転勝利を飾った韓国戦での最終ラインのパフォーマンスは正直心許なかった。
 
 まず20分の失点シーンは左サイドからクロスを上げられると1トップのチン・ソンウクに頭で落とされ、クォン・チャンフンにボレーで決められた(岩波の足に当たりコースが変わってゴール)。
 
 植田は「僕とタク(岩波)で考えていることが違っていたと思う。そこを合わせないといけない」と語り、岩波は「俺がもう少し前に出ないといけなかったと思います。あの時、ゴールへカバーに入ったんですが、今のクシ(櫛引)くんならそう簡単に失点しないので、あそこはFWのマークにいくべきだったなと。植田が最初についていた選手が、最後に俺の前に来ましたけど、(植田が)行けるかなと思いましたが、自分が出ないといけなかったです」と判断ミスを口にする。
 
 そして後半は4-4-2から4-3-3へシステムを変えて臨んだが、「少しフォーメーションいじって、その隙と言うか、空いたスペースを使われた」(岩波)と立ち上がりの47分に2点目を献上。今度は左サイドを突破され、クロスからチン・ソンウクにネットを揺らされた。
 
 1失点目、2失点目ともに自慢の堅守を崩された形だ。この日は2ボランチの遠藤、大島のプレスを掻い潜られ、最終ラインへの負担が増えたことが大きかった。結局、CBコンビが撥ね返しきれず、SBのふたりもサイドでの1対1で後手を踏むことが多かった。ひとつのポジションでマークを外されば、別のポジションが空く。カバーリングにも課題が見えた。
 
 固いディフェンスを基盤にするチームなだけに、韓国に引きちぎられた守備網はリオ五輪までに再度、作り直す必要があるだろう。
 前述したようにこの日は遠藤、大島の2ボランチの位置で上手くプレスがハマらず、ボールを持ってもパスをカットされ続けたことが苦戦の原因となった。
 
 ふたりは4-3-3を敷いた韓国のインサイドハーフの7番ムン・チャンジン、8番のイ・チャンミンと対峙したが、力負けしたと言って差し支えない。終盤には韓国の足が止まり、余裕が出たが(この時はすでに遠藤、原川の2ボランチ)、五輪本大会を見据えれば、中盤の構成力強化は急務に感じられる。
 
 後半頭から採用した4-3-3ではアンカーに遠藤を置き、原川と大島をインサイドハーフに並べたが、機能性が乏しく2失点目の原因になるなど、こちらも収穫はなし。
 
 一方で「前半はなにもできなかった」(矢島)と、サイドハーフの矢島、中島のふたりも韓国の素早い寄せに試合の中盤過ぎまでまったく仕事をさせてもらえず。日本に流れが傾いた終盤は輝いたが、前半の不出来さを見ていると不安は大きい。
 
 リオ五輪では韓国以上に攻守に高い力を持った相手と対戦するはずで、今回の一戦を指標にしつつ対策を練りたい。
 
 終盤に一気呵成に3ゴールを奪った点は評価できる。それでも韓国が3点目を奪いに前に出て来てくれたおかげでスペースが生まれただけに、引いて守られていればチャンスは訪れなかったかもしれない。
 
 ただ、韓国戦で2ゴールを挙げた浅野が“スーパーサブ”としての地位を確立し、久保も周囲との良好な連係を見せた点は収穫と言える。
 
 後半に試した4-3-3で1トップの久保が孤立したことを考えれば、やはりマッチしているのは2トップ。久保は試合序盤からスイスで磨いたフィジカルを活かして奮闘していただけに、今後は彼の相棒探しがどうなるかが注目どころだ。今予選は負傷に苦しんだ鈴木がその第一候補だが、本大会ではFWにオーバーエイジを使う可能性もあるだろう。
 
 いずれにせよ、まずは守ってカウンターという形がチームのベースになるため、素早い攻撃の精度向上も取り組むべき課題だ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)