一方で、攻撃的なポジションに、これといった選手がいないのは寂しいね。浅野がインパクトを残したのは決勝だけだし、南野はノーゴールで大会を終えている。エースと期待された久保も含めて、もう一段レベルアップしないとA代表の主力を脅かす存在にはなれないよ。
 
 まあ、そのあたりの答えは、ハリルホジッチが出すだろう。3月にはロシア・ワールドカップのアジア2次予選がある。2次予選突破はすでに決まっているから、五輪世代の何人かをテストするかもしれないよね。
 
 そこで少しでも使ってくれれば、五輪代表の強化にもつながる。仮に呼ばれなかったとしても、8月のリオ五輪で結果を出せば、その後のワールドカップ最終予選でチャンスを与えられるはずだ。
 
 これからU-23代表の選手たちは、リオ五輪のメンバー入りをかけたサバイバルに挑む。その枠は、今予選よりも狭き門だ。世界との戦いを考えれば、やっぱりオーバーエイジは必要だからね。手倉森監督がどんな選手を選ぶか分からないけど、個人的には日本のベストと言えるチョイスをしてほしいと思っているんだ。
 
 ブラジルはネイマールの招集を考えているようだし、他の参加国も可能な限り、トップレベルのオーバーエイジを呼ぶだろう。そこで挑戦者である日本が育成を重視した人選をしていたのでは、始まる前から出遅れているようなものだ。日本が本気でメダルを狙いに行くなら、「選手を育てる」と言い訳をせず、勝つための人選をすべきだよ。
 
 それに、協会としてのノルマも設定すべきだろうね。今は「メダルが目標」と監督が言っているだけで、組織としてのノルマを明確にしていない。普通の会社であればノルマを設定し、その達成のためにプロジェクトを組むよね。そのうえで、ノルマを果たせなければ、トップが責任を取らされる。でも、日本のサッカー界はそういう普通の状態になっていないんだ。
 
 どんな結果でも責任を追及されない現状は、決して健全とは言えないよ。例えば、ブラジルが本大会のグループリーグで負けたら、監督は袋叩きだし、会長も辞任を迫られるだろう。世界を目指しているのなら、日本もそうした厳しさを持つべきじゃないかな。