67分の追撃のゴールの場面。決勝の2ゴールで浅野はようやく自身の役割を果たせたと安堵の表情を見せた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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「満足ではないですけど、気持ちよく日本に帰れます」
 
 決勝戦の韓国戦でチームを勝利へ導いたのが、ここまでノーゴールと結果を残せずにいた浅野だった。
 
 1点目は67分。途中出場してからの7分後だった。「(矢島)慎也君にボールが渡った時にお互いスペースを見つけられました。信頼関係を築けているので、良いパスが出てきました。あとは決めるだけでした」と、矢島からのスルーパスに抜け出し、飛び出してきたGKをあざ笑うかのようなチップキックでネットを揺らした。
 
 そしてスタジアムを熱狂の渦に誘い込んだのが2-2の同点で迎えた81分だった。
 
「(中島)翔哉がボールを持って、あの時はただの裏ではなくて相手との駆け引きがありました。普通に競り合うだけでなくて、身体をくっつけながらずる賢くというか、相手に少し身体を当てて、ボールを触らせないという、広島で身に付けたことを活かせました。GKと1対1になっても冷静に決められました」
 
 中島のスルーパスにDFと競り合いながら上手く反転して、逆転弾を決めて見せた。
 
 今予選、流れを変える“スーパーサブ”として起用されてきた浅野だが、「チームが勝てているのはすごく良いこと。僕は与えられた仕事をこなすことを考えたい。でも結果を残せていないのは悔しい」ともどかしさを抱えていた。
 
 この日も後半途中、指揮官から声がかかった。状況は2点のビハインド。ピッチに入る瞬間は「0-2でしたが、誰も諦めておらず、まずは1点を取って流れをかえなくてはいけない」と強い想いを抱えていたという。
 
 そして決勝の舞台での大仕事。「やっと取れました」と語る表情にはこれまでの苦労が報われた安堵の色が濃く映し出されていた。
 
 ただ、今回の優勝も五輪の出場権獲得も浅野にとってはまだ通過点と言える。目指すはさらなる高みだ。新シーズンからは広島で背番号10を付けることが決まっている。歴史に残る2ゴールをきっかけにその成長速度はますます加速しそうだ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)