原因の1つは骨盤底筋の伸び(shutterstock.com)

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 ジャズシンガーの綾戸智恵が、「これで安心ね」と明るく笑ってバスに乗り込む「ライフリー・さわやかパッド」のCM。この商品は介護用品でも、おりもの用ナプキンでもなく、尿漏れ(尿失禁)専用だ。

 20ccの「少量用」から270ccの「特に多いときも長時間安心用」まで6段階のラインナップ。女性の尿トラブルの深刻さがうかがえる。

 日本泌尿器科学会によると、40代以上の女性で腹圧性尿失禁に悩まされている数は約2000万人以上、約4割に上るという。お腹に圧力が加わった時に起こる症状で、椅子から立ち上がっただけでチョロリ、くしゃみや咳をしただけでもチョロリ、重いものを持ち上げようものなら、より危険度が増す。

 「排尿」か「我慢して(尿)をためるか」のサインは脳が指令するが、"何らかの体の不具合"で自分の意思とは関係なく尿漏れ状態になってしまうのが尿失禁だ。

出産後、骨盤底筋が伸びきって尿道が締まらない!

 尿道の長さは男女異なることをご存じだろうか。男性は約25cmもあるが、女性はたったの約3~4cm。男性に比べて6分の1の長さしかない。

 尿道の長い男性には前立腺がある。女性には前立腺がない代わりに、骨盤底筋が尿道、膀胱や子宮をハンモックのように支え、同時に尿道を締める大事な役割を担っている。

 つまり、骨盤底筋の筋力が低下すると、"緩んだ蛇口"のようになり尿が漏れてしまうわけだ。

 骨盤底筋の低下、つまり40代女性の尿失禁の原因は、過去の出産によることも少なくない。なかには骨盤底筋が緩んだり、伸びきったりするだけでなく、断裂している場合もある。

 もうひとつの理由に、閉経後に自律神経やホルモンのバランスが乱れて、膀胱の機能が低下することが挙げられる。膀胱が正常に働かないことで、すぐにトイレに行きたくなったり、間に合わず尿が漏れやすくなったりしてしまう。

 さらに、更年期のサインがでる40代後半あたりからエストロゲン(女性ホルモン)が減少し始め、筋肉自体が弱くなってしまうことも、女性の尿失禁の要因になる。

高齢出産時代だからこそ体のケア必須

 晩婚時代の分娩の事例を数多く見ている井上レディースクリニック(東京都立川市)の井上裕子院長は、40代女性に多い尿失禁の原因は、「お産の仕方にも問題がある」と指摘する。

 同クリニックの分娩件数は、年間で約500件にもなる都内有数の産院だ。ここでは35歳以上の高齢出産が40%を占める。

 「40代の初産は当たり前の時代。だからこそ体のケア、予防医学が大切になってくるのです。自然分娩志向も結構ですが、骨盤底筋が伸びきってしまうようでは元も子もありません」と話す。

 また「予防医学の観点から言えば、まずは分娩に耐えうる体づくりをすること。栄養バランスのよい食事、適度な運動は、月並みだけれど後々体に負担がかからないためには必要です」とアドバイスする。

 これから出産を考えている人は心にとめておきたいことだ。特に高齢出産の人は、産後すぐに「骨盤底筋エクササイズ」を始めたほうがいい。

 エクササイズの方法は以下の通り。仰向けに寝て膝を曲げて脚を開く。10秒程度腰を上げ、肛門筋と骨盤底筋を締める。これを10回程度、毎日継続してみよう。椅子に浅く腰掛け、尿道と肛門を締めるなども有効だ。

 すでに尿漏れに悩んでいる人も、軽度の緩みなら「骨盤底筋エクササイズ」で改善できる。
(文=編集部)