RSウイルスは3歳までに誰もが感染する(shutterstock.com)

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 RSウイルス感染症は、RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)の感染による呼吸器の感染症だ。毎年冬季に流行し、乳幼児の50〜70%以上が1歳までに罹り、ほぼすべての乳幼児が3歳までに感染、その後も一生、再感染を繰り返す。

 原因は何? RSウイルスに感染している人の咳やくしゃみ、会話した時に飛び散るしぶきを吸い込む飛沫感染が多い。また、感染している人に直接触れたり、ウイルスが付着した手指、ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップなどに触れる接触感染によっても発症しやすい。

 症状は? RSウイルス感染症は、2〜8日の潜伏期間後、鼻水が始まり、2〜3日で、咳、発熱、ぜん鳴(ゼーゼーと音がする呼吸)、顔色不良、呼吸困難、中耳炎などを示す。気管支の最末端部で肺胞につながる細気管支に起きる細気管支炎を発症すれば、夜間に呼吸困難を招くことがあり危険だ。

 初感染した乳幼児の約7割は、鼻汁などの上気道炎の症状が出た後、1〜2週間で回復するが、約3割は咳が悪化する。特に乳児期初期(生後数週間〜数カ月間)や2歳以下の乳幼児は、重症化しやすく、ぜん鳴、呼吸困難を伴った細気管支炎、肺炎、急性脳症のほか、突然死につながる無呼吸発作に進行するリスクが一気に強まる。

 また、生後3か月以内の乳児、早産児や低体重児、心臓、肺、神経に基礎疾患があったり、免疫不全が見られる乳幼児は、重症化のリスクはさらに高まるので、注意すべきだ。RSウイルス感染症の致死率は1〜3%だが、心臓に基礎疾患のある乳幼児の致死率は37%と高い。

マスクの着用、消毒、手洗いを忘れるな

 感染を防ぐための注意点は何か? RSウイルス感染症の感染経路は、先述のように飛沫感染と接触感染だ。RSウイルス感染症は、保育所、幼稚園、学校などの施設内で流行しやすい。家族内にRSウイルス持ち込むのは、再感染によって軽症の上気道炎症状が現れた学童年齢の小児も多い。乳幼児と年長児が暮らす家族内では、流行期間中に約44%の乳幼児が感染したとするデータがある。

 したがって、咳、感冒などの呼吸器症状のある年長児や成人は、できるだけ新生児や1歳児との接触を避けることが賢明だ。RSウイルス感染症の流行時期はもちろん、流行時期でなくても、咳などの呼吸器症状があれば、飛沫感染を防ぐためにマスクを必ず着用し、新生児や1歳児に接したい。

 RSウイルスは、凍結や融解などの作用、55℃以上の加熱のほか、界面活性剤、クロロフォルム、エーテルなどによって速やかに不活化される。したがって、流水や石鹸による手洗い、アルコール製剤による手指の洗浄、乳幼児が触れるおもちゃ、手すりなどをアルコールや塩素系消毒剤による消毒するなどを励行し、接触感染の予防を徹底しよう。

 治療法はRSウイルス感染症の特効薬はないため、対症療法になる。発熱には冷却とともに、アセトアミノフェン(カロナール)などの解熱薬、ぜい鳴を伴う呼吸器症状には鎮咳去痰薬(ちんがいきょたんやく)や気管支拡張薬などが用いられている。細菌感染の合併症が疑われれば、抗生剤が使われる場合がある。早産未熟児、慢性肺疾患児、血行異常がある先天性心疾患児には、抗RSウイルス単クローン抗体(パリビズマブ)が予防的に投与されている。

 なお、脱水症状が強いなら、喀痰(かくたん)が粘って吐き出すのが困難になるので、家庭では、水分補給を十分に行わなければならない。食事ができない時は、食塩とブドウ糖を混合して水に溶かした経口補水液を使えば、小腸の水分吸収が促されため、発熱などによる脱水症状が緩和されるだろう。

 ちなみに、ワクチン接種の予防だが、現在、ワクチンはない。予防のためのワクチンの開発・研究が続けられている。

 大切なので繰り返すが、夜間に「ぜーぜー」「ひゅーひゅー」などの呼吸音を伴う呼吸困難の症状が少しでもあれば、躊躇せず入院施設のある医療機関を必ず受診してほしい。
(文=編集部)