男性の更年期障害は「LOH症候群」とも呼ばれ、男性ホルモンのテストステロンが大きく影響している。中高年になるとこの分泌量が徐々に減少し、性欲減退やEDなどにつながる。加えて、精神的には憂うつ感や物忘れが増え、身体的にも筋肉痛や心筋梗塞を起こしやすくなるなどの不調が生じる病気だ。
 テストステロンの分泌量のピークは20代とされ、以降は減ることはあっても急激に増えることはない。ただし、減り方も、その時期も個人によって異なるため、最近まで男性の更年期障害についてはあまり語られてこなかった。
 年代別のテストステロン平均値は、20代=16.8pg/ml(単位以下同)、30代=14.3、50代=12.0、60代=10.3、70代=8.5となっているが、80代になっても30代並みのテストステロン値を持つ人もいれば、40代ですでに70代の値の人もいる。

 「そのため更年期障害の症状を軽くするためには、年齢とともに下がっていくテストステロンをどう保つか、補っていくかがポイントとなります」
 こう語るのは、昭和大学藤が丘病院の精神科外来担当医。
 「古くから、男性ホルモン値が下がり様々な問題が起きることを、医学的に『性腺機能低下症』と呼んでいました。しかし、この病は単に一時的な男性ホルモン値の影響を考えるだけでは完全な治療に繋がらない。そこで最近では、加齢や社会的環境を考慮した上で、男性の更年期障害を『加齢男性性腺機能低下症候群』(Late Onset Hypogona dism syndrome=LOH症候群)と呼ぶようになったのです」(同)

 オーストラリアの大学研究グループの調査でも、うつ病と判断された人はテストステロン値が明らかに低いとの結果が出ており、さらには数値が下がると内臓脂肪が増えるという調査結果もある。
 「その逆に、テストステロン値が低い人にテストステロンを補充すると、内臓脂肪が減り筋肉が増えることも実証されています。つまり、テストステロンの量が低下するにつれてメタボシンドロームのリスクも高くなるということです」(専門医)

 さらに性の問題について。日本で現在、1130万人が満足できる勃起が出来ていないと言われているが、こんな例がある。
 神奈川県に住むAさん(45)は、ある朝を境に別人に変わってしまった。というのも、システムエンジニアとして仕事も精力的にこなしていたAさんだが、ある日、突如として朝起きられなくなったという。気持ちも沈み、体が重く自由に動かなくなったのだ。何とか昼過ぎに出社するが、仕事の効率は下がりミスも増えた。物忘れも激しくなり、憂うつ感も日に日にひどくなる。結婚4年目の妻との性生活もなくなった。