2016年オーストラリアンオープン(全豪)では、ともに24歳の土居美咲(WTAランキング64位、1月18日付け、以下同)と奈良くるみ(94位)が出場したほか、21歳の日比野菜緒(56位)と18歳の大坂なおみ(127位)の若手2人もグランドスラムデビューを飾り、日本女子テニス界に新風を吹き込んだ。

 2年ぶり3回目の出場となる土居は1回戦で、決勝まで進出した第7シードのアンジェリック・ケルバー(6位、ドイツ)に、7−6(4)、(6)6−7、3−6で敗れた。土居には第2セットのタイブレークで、1度マッチポイントがあったが、取り切れなかった。今季はまだマッチ勝利がなく、2016年初勝利はお預けとなった。

「勝ち星は欲しいですね。欲しいですけど、テニス自体は悪くないと思う。今、勝ち星がないのは、結構難しいところではあるんですけど、このテニスを継続できていれば、必ず結果自体はついてくると思うので、そんなに落胆せずにいけたらと思います」

 奈良は3年連続3回目の出場で、1回戦で、オセアネ・ドダン(147位、フランス)を7−6(2)、6−2で下したが、2回戦では、マルガリタ・ガスパリアン(58位、ロシア)に4−6、4−6で敗れた。奈良はもともと具体的な目標を公言するタイプではなかったが、そのスタンスは今も変わらない。

「ランキングは落ちてきているけど、今シーズンが始まってテニスはいい形でできているし、いつになるかわかりませんが、トップ50に戻っていけるようなテニスはできていると思う。今までも早いタイミングを意識していましたが、ボールに入るスピードを早くして、どの選手よりもタイミングを早くして、コートを広く使えるように意識してやっていけば、もっとレベルを上げられる」

 日比野は初の全豪本戦ストレートインを果たし、念願のグランドスラムデビューとなった。1回戦では、いきなり日比野のアイドルである第5シードのマリア・シャラポワ(5位、ロシア)と対戦したが、1−6、3−6で敗れ、初出場を勝利で飾ることはできなかった。

「(シャラポワは)体全部で押してくるように前のめりで、私のコートにまで入ってきそうな感じでした。デビュー戦でしたが、欲を言えば勝ちたかったです。昨年からWTAツアーには参戦しているけど、トップ10選手と対戦することはなかったので、やれたことが私にとっては大きくて、いい経験になりました」

 そしてもうひとり、大坂は厳しい予選3試合をすべてストレートで勝利して、全豪初出場を果たすと同時に、18歳でグランドスラムデビューを飾った。1回戦では、ドナ・ベキッチ(104位、クロアチア)を6−3、6−2で破り、見事初出場で初勝利。最高時速195kmのサーブを打ち込み、初出場とは思えないような落ち着いたプレーを見せた。

 さらに2回戦で、第18シードのエリナ・スビトリナ(21位、ウクライナ)を6−4、6−4で破るアップセット(番狂わせ)を演じた。サーブだけでなく、もうひとつの武器であるフォアハンドストロークでも21本のウィナーを打ち込んだ。また、フォアスライスを使ったディフェンスをうまく使ったり、サーブを緩急つけて打ち分け、相手のリターンミスを誘うなど、非凡な才能だけでなく、1戦1戦強くなっていくような学習能力の高さもうかがえた。

 3回戦では、全豪で2回優勝した、第14シードのビクトリア・アザレンカ(16位、ベラルーシ)に1−6、1−6で敗れた。試合は、全豪のセンターコートであるロッド・レーバーアリーナで行われたが、予選から数えて6試合目の大坂は、腹筋を痛めたため、パワフルなサーブやフォアハンドストロークを打つことができなかった。

「正直、彼女(アザレンカ)が私を負かして、ちょっとよかった。この試合から、まだまだたくさん学ぶことがあるし、よい経験でした」

 こう試合を振り返った大坂は、全豪でランキングポイントを170点獲得して、WTAランキングが107位前後に上昇する予定で、世界のトップ100入りはもう目前だ。

「(今年の目標は)トップ50。だってトップ100入りはできると確信しているから、100から50に変えるわ(笑)」

 自ら今年の目標を上方修正した大坂に対し、今シーズンから新たにフェドカップ日本代表監督に就任した土橋登志久氏は大きな期待を寄せる。

「まだまだ粗削りなところがありますが、今大会では、その粗い部分を抑えて、しっかり勝ち上がるために必要なことをやっていました。でも、彼女の最大の魅力はスピードとパワーなので、それをどういう配分にしていくかが、これからの課題です。彼女には可能性を感じますので、焦らずにグランドスラムの頂点を目指せるような選手になってほしいです」

 大坂自身の将来の夢も大きく膨らむ。

「ナンバーワンになりたいし、グランドスラムでもたくさん勝ちたいし、フェドカップでもオリンピックでもプレーしたい。それができたら嬉しいわ」

「楽しみなシーズンです」と土橋氏が語るように、2016年シーズンでは、大坂や日比野ら若手が台頭して新時代を切り開き、日本女子テニス全体のレベルアップが期待できそうだ。

神仁司●文 text by Ko Hitoshi