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●Pepperの魅力は集客力のみか
人のように動き、仕事をこなすロボットがいる職場。数年前までは夢物語だったが、人工知能搭載ロボットのPepperはそれをすでに実現しつつある。今では企業や量販店などの受付・応対がメインで、実行できることは限られているが、今後は様々な分野で活躍すると見られている。Pepperはどんなシーンに入り込んでいくのか。

○Pepperはすでに500社以上に導入

Pepperが企業に導入されたのは2014年末のこと。まだわずか1年強の時間しかたっていないが、すでに500社以上に導入されている。その主な活用は、応対・接客だ。

ネスレ日本は、集客効果を期待して、コーヒーメーカーの販売スタッフとしてPepperを活用。販売店に配置して、Pepperに商品紹介を行わせたところ、売上は15%アップしたという。みずほ銀行も集客効果、窓口への誘導などを期待し、Pepperを導入。来客を応対し、金融商品の提案を行うなど、応対した客の10%以上をカウンターに送客し、成果を挙げた。

こうした事例は増えており、Pepperがビジネスシーンで活躍する姿を見聞きする機会が増えた。しかし、今現状でPepperに期待されているのは、物珍しさによる"集客力"だ。その位置づけはまだ"客寄せパンダ"という域からは出ていない。

そんなPepperに求められているのが新たな力。それを付加するのが、アプリケーションであり、新たなビジネスシーンに入り込む力になりうる。その可能性を見える形にしたのが、27日、28日の2日間開催されたイベント「Pepper World 2016」である。

●医療、介護、教育分野に入り込むPepper
○Pepperが入り込むシーン

「Pepper World 2016」で示されたPepperの利用シーン。そこから見えてきたのは、医療、介護、教育分野への利用の広がりだった。

医療分野では、GE HealthcareがMRI検査でのPepper活用法を紹介する。同社は、Pepperに説明能力と"和ませ力"に期待する。MRIは精密検査であり、検査の注意事項が多いため、実施前に緊張がとけない人も多い。

そこで、Pepperに手順や注意事項の説明役を担わせる。これにより、注意事項の説明の漏れがなくなる。愛嬌のある動作をすることで、患者を和ませることも可能だ。同社の説明員によると「まだ実証実験を行っていないので、何ともいえないが、Pepperには、緊張感を和らげる効果を期待したい」と話す。

介護分野でも医療同様の効果が期待される。エクシングは介護施設向けレクリエーションアプリを開発。体操、クイズ、カラオケといったコンテンツでPepperと遊べるようになっている。実際に高齢者が使ってみると、Pepperを「孫みたいに思った」というケースもあったという。

教育分野では、英会話能力をPepperがアップしてくれるかもしれない。G-angleは英会話アプリを開発。Pepperと会話をすることで英会話能力を高めるというものだ。英会話教室などで外国人を相手に練習するが、そこにあるのが心理の障壁。「間違えたら恥ずかしい」と及び腰になりがちな気持ちをPepperが和らげる。Pepperならあくまでロボットであるということで恥ずかしさを感じることなく話せるようになる。

●ソフトバンクが目指す近未来
○ソフトバンクが目指すは「接客データの見える化」

今ではPepperのメーン業務となっている接客・応対については、ソフトバンクが一歩踏み込んだ取り組みを行う。それは、Pepperが接客から、契約までをこなす期間限定の携帯ショップである。

契約の最終段階では、人の手が介在するというが、業務の大多数をPepperだけでこなしていく方針だ。もしそれが可能ならば、接客・応対がロボットでこなせる証左となり、小売分野におけるインパクトは大きなものになるだろう。

さらに同社は、応対・接客の一歩先の未来も描く。Pepper内蔵のカメラやセンサーを介して、接客・応対相手の年齢や男性女性などといった性別を判別して、クラウドに蓄積、マーケティング分野に生かしていくというものだ。

企業における受付・応対では、Pepperが受付として来客の顔認識を行ない、来客がどこの会社の誰か、自社の誰に会いに来たのかを瞬時に判別する。また、家電量販店では、顧客が過去に何を購入したのかを認識、それに応じて会話をする。個人情報の取扱いをどうするか、という問題もあるが、いかにも実現しそうなシーンである。

○Pepperは飛躍できるか

Pepper World 2016で示された様々な想定利用シーン。一連の取り組みに共通するのは、身振り、手振り、間の取り方が人間臭くありながら、完全な人間ではないというPepperの特徴を生かしたところだ。人の形に近いヒューマノイドは、人の関心を高め、人に親しみを湧かせる。その特性にマッチするビジネスシーンに、Pepperは馴染み、入り込んで行きそうに思われる。

そこに物珍しさが加わり、集客力を期待して、応対・接客分野での活用が進んできたのは当然の流れともいえるかもしれない。逆にいえば、利用シーンの広がりは感じられつつも、特性そのものは大きく変わっていないとも言えそうだ。

Pepperにはできることが限られており、そこはまだ仕方がないという見方もある。一般販売用のPepperの知能は、人間に当てはめた場合、まだ2歳児程度とされ、機能的にもできることは限られている。Pepperが世に出てからまだ1年ちょっと。Pepperが大きく飛躍するためにも、新たな機能の付加、新たな価値の創出に期待したい。

(経営・ビジネス取材チーム)