蚊が媒介し、妊婦が感染すると胎児に深刻な先天異常を起こす恐れのあるジカウイルスによる「ジカ熱」が南北米大陸全域に拡大しており、世界保健機関(WHO)は2016年1月24日、米大陸に渡航する際は安全を期するよう警鐘を鳴らす声明を出した。

インフルエンザに似た症状、ワクチンない

ジカウイルスは、ヤブ蚊の1種「ネッタイシマカ」を通じて感染するが、大半の人は発熱や頭痛などインフルエンザに似た症状が数日続くだけで、特別な治療も必要なく治ってしまう。ワクチンはない。しかし、妊婦が感染すると、先天的に頭部が小さく頭蓋骨が発達しにくい「小頭症」の子どもが生まれる心配が指摘されている。

ジカウイルスの発生が最も多いブラジルでは、2015年5月から2016年1月まで50〜150万人の感染者が出たが、小頭症の患者も急増、例年150人前後の患者が同期間に約3900人に達した。このため、隣国のコロンビアでは、政府が、流行が落ち着くまで女性は妊娠を控えるよう勧告声明を出したほどだ。

妊娠した女性は渡航しないのが一番

旅行者は何に気をつければよいのか。WHOや厚生労働省の資料をまとめるとこうだ。

(1)妊娠している女性は、ジカ熱発生地域への渡航を避ける。

(2)妊娠を望む女性も、医師に相談のうえで蚊に刺されない対策をとる。

(3)もし妊娠した女性が行く場合は、滞在中は、エアコン付きか窓やドアに網戸のある宿泊施設を予約する。

(4)殺虫効果があるペリメトリン処理をされた蚊帳と蚊取り線香を持参する。

(5)外出の際は、素足のサンダル履きを避け、長袖の衣服と長ズボンを着用、その上から虫除けスプレーを噴霧して蚊に刺されないようにする。

(6)白など薄い色のシャツやズボンを選ぶ(蚊は色の濃いものに近づく傾向がある)

(7)露出する肌には先に日焼け止めを塗ってから虫除け剤を塗布する(逆だと虫除け効果が薄れる)。

最後に、男性の精液からウイルスが検出された報告があり、性交渉でうつる可能性も指摘されている。そちらの注意も肝心だ。