「スパイダーマンは不可能」に実演で反論。スタンフォードの研究者がアンサー動画公開

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ケンブリッジ大学の生物学者が「人間サイズで垂直の壁を登る生物は存在し得ない、つまりスパイダーマンは不可能」と発表して数日。今度はスタンフォードの工学研究者が、「いや、スタンフォードならできるけど?」とばかりに壁登りの実演アンサー動画を公開しました。



みずから開発したひっつきパッドで垂直のガラス壁登りを実演するのは、スタンフォードで生物模倣システムを研究するElliot Hawkes氏。ケンブリッジの研究では体表面積と体重の関係から、垂直の壁を登れるのはヤモリが限界であるとしていましたが、Hawkes氏のひっつきパッドはそのヤモリの手足と同じ原理で吸着します (真空吸着でも接着剤でもなく、微細構造で壁の表面に密着することでくっつく)。いわく、重さを賢く分散させる設計が垂直のガラス登りを実現しています。

アンサー動画はテレビのトークショー番組で「また科学が夢をぶち壊しにしてくれた!今度はスパイダーマンだ」とケンブリッジの研究をネタにしていたコメディアンのコルベアに宛てた体裁。壁登りそのものは2014年にすでに動画とともに発表済みですが、「スパイダーマンは不可能」のニュースに乗じて、わざわざスタンフォード大学公式アカウントで公開しています。

一方、「スパイダーマンは不可能」と伝えられた研究は、ケンブリッジの動物学者 David Labonte 氏によるもの。吸着で垂直の壁を登れる生物225種について、体重と体表面積、吸着部の面積と吸着力の関係を調べた内容です。

分析の結果、昆虫や爬虫類など生物種は違っても、体の大きさや重さと吸着部にみられる関係は一定であることが分かったとしています。人間サイズに当てはめると、体重を支えるには体表面積の40%を吸着させる必要がある、よって手足だけでスパイダーマンのように登ることは(自然界の生物としては)ありえない、現にヤモリより大きな生物で垂直の壁を吸着で登るものは存在しないとの説明です。

「スパイダーマンは不可能」は、大学がこの研究を広報する際に使った見出し。そもそも実在しないスパイダーマンの例えにまじめに反応しても仕方がありませんが、研究は動物学についての内容であって、もともと人工的な手段で人間が壁登りする可能性を否定したわけではありません。スタンフォードの「アンサー」も科学として真剣に反論しているわけではなく、テレビを挟んだ軽い話題作りといったところです。

(ついでにいえば、スパイダーマンの壁登りは作品や時期によって設定が変わるため原理不明。糸とは別に、指先の見えない器官で天井や壁に張り付くという曖昧な説明もありますが、ファンデルワールス力であると決まっているわけではありません。強いて言えばスーパーヒーロー力です)。

ミサイルが撃てるヤモリ怪人