ザックやグアリンも進出…ブームからルートへと変わるイタリア発・中国移籍

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 2016年冬のメルカートも最終週に入り、選手の動きが大詰め段階に入ってきている。この原稿を書いている1月25日午後6時過ぎ、インテルのコロンビア代表MFフレディ・グアリンの中国スーパーリーグ(1部)、上海申花への移籍が決まったと有料放送『スカイスポーツ』が報じた。2012年からインテルに所属していたグアリンも、ついにロベルト・マンチーニ監督の構想から完全に外れてしまったのだ。インテルはこれで移籍金1200万ユーロ(約15億6000万円)を手にした。

 グアリンだけではない。今回のメルカートにおいて、うちここ10日間は、セリエAやイタリア絡みで中国クラブとの関係が毎日のように取り沙汰されている。日本代表を率いたアルベルト・ザッケローニ氏が北京国安への監督就任が正式に決定。ミランに所属するブラジル代表FWルイス・アドリアーノの江蘇蘇寧への移籍話は結果的に消滅したが、中国移籍が紙面を賑わせている。

 ロシア、中東マネーに続き、中国クラブが欧州サッカーチームの選手や指導者の獲得に励んできたのは、近年だ。イタリアではユヴェントスの名将として地位を確立し、2006年のドイツ・ワールドカップでアッズーリを世界一に導いたマルチェロ・リッピ氏が知られる。2012年5月から広州恒大の監督になり、その後を元イタリア代表DFファビオ・カンナヴァーロ氏が引き継いだからだ。選手では広州恒大に元イタリア代表FWアルベルト・ジラルディーノ(現パレルモ)やMFアレッサンドロ・ディアマンティ(現アタランタ)が所属していた。

 このイタリア(もしくは欧州)から中国サッカーへというルートで、実際に現地で生活した人物がいた。元ユヴェントスのGKで、リッピ氏のスタッフとして広州恒大へ同行したミケランジェロ・ランプッラ氏だ。この移籍市場には中国経済が大きく影響しているという。「現地の資産家はスポーツ・ビジネスに投資したがっているんだ。スーパープレーヤーをクラブの象徴とし、獲得に全力を注いでいる。4、5クラブが選手たちに多額の年俸を支払える」。現状についてそう語ると、「スタジアムは大小あるが、美しく機能的で、サッカー文化の成長は著しい」と続けた。

 一方で、選手にとっては心理面での葛藤も出てくるようだ。「“壁”がある。それは地理的な距離であり、また中国への移籍は、トップレベルのサッカー界から出て行くのと同じことを意味する。全ての選手が年俸の額だけで中国クラブへの移籍を決めるわけではない」と複雑な面があることを明かした。とは言え、広州恒大のAFCチャンピオンズリーグ制覇をはじめ、中国サッカーが着実に実力をつけてきているのも事実。この欧州から中国へという関連のブームは、一時的なものではなくなってきたのかもしれない。

文=赤星敬子