専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第39回

 最近、インターネットを中心に流行っている言葉の中に、「意識高い系」というのがあります。

 文字どおり解釈すると、物事に対しての意識が高く、向上心にあふれ、前向きな人のこと、となります。しかし、実際の使われ方は、どうも違うようです。意識のみが高く、現実がついていっていない人のこと、とネガティブな扱いで使用されています。

 この「意識高い系」の人々は、実はゴルフをされている方々の中にも、結構見受けられます。もちろん、そういう人は自分が"意識高い"なんて思っていなくて、すくすくと育ってらっしゃいますが......。

 具体的に、どう"意識高い"のか、検証してみます。

 まず、つい自分を大きく言ってしまうタイプの人がいます。「俺、一応シングルだから」とか言って、「90」を軽く超えてしまってはダメですよね。そのシングルって、ひょっとして戸籍のことですか? てなものです。

 しかも、自称シングルさんは、叩いたときの言い訳が非常にうまい。「シングルだったのは、10年前だから」って......それを早く言ってくださいよ。

 また、飛距離を自慢する人もいます。「残り150ヤード? それなら9番アイアンかな」って。普通のアマチュアでは、9番アイアンでそんなに飛びません。おそらく9番と6番を見間違って、実は6番アイアンで打ったんじゃないですか? ほんまかいな......。

 さらにそういう人の中には、見栄を張ってアイアンをマン振りし、ボールをすごく曲げて、飛距離を測定させない姑息な手段を使う人がいます。そして、打ったあとに必ずこう言うんです。「真っ直ぐ飛んでいれば、グリーンに乗ったな」って。スコアを犠牲にしてまで、飛距離の見栄を張らなくていいですよ。

 以前、どこぞのプロアマ競技で一緒になった方の中には、聞いてもいないのに「生涯90台以上は叩かない」という人がいました。見た目はなかなかの好青年で、お洒落だし、フォームもきれいだし、「これはひょっとして、本当にうまいのかなぁ」って思いました。

 ところが、プロアマ競技で緊張したのか、その好青年はあり得ないシャンクとか打ち始めて、「おかしいなぁ......」とか言って何度も首をひねりながら、顔面蒼白になっていました。

 上がってみれば、限りなく「100」に近いスコアを叩いて、しょげまくり。それでも、私よりスコアが上ですから、笑えます。いつもどおり、へらへらしている私の立場はどうなのよ、と言いたいです。

 好青年は「結構練習したのにぃ〜」と悔しそうでしたが、私から言わせれば、プロアマ競技は"慣れ"です。プロと初めてラウンドすれば、そりゃ緊張します。なのに、事前にでっかく吹いてしまったから、自分でプレッシャーを背負うことになったのでしょう。

 というわけで「意識高い系」は、自分を大きく見せてしまいがち。でも、ゴルフって、すごく低い位置から語ったほうが楽なんですよね。

 私も、ゴルフをやり始めて25年、一時はシングルにもなったし、ベストスコア「75」を出したこともあります。が、いまだに年に1、2回は「100」を叩きます。先週も、辛うじて100を切った「99」でした。

 日頃から、ゴルフは「100」を叩くもんだと思ってプレーしていると、気持ちが楽です。目指せ、「意識低い系」ゴルファーといったところでしょうか。

 ゴルフは、スコアや飛距離、技術に対して、高い意識を持っていくことも大切ですが、長年やっていると、ゴルフができること、それ自体に幸せを感じます。

 ゴルフを継続してやるには、健康な体と健全な精神が必要です。加えて、仕事が順調でなければ、プレー代も出せません。そのうえで、ルール&マナーを守って、技術を研鑽すべきですから、相撲じゃないですが、「心・技・体」のすべてが不可欠です。それに、プラスお金ですから、「心・技・体・金」の4つ、そのすべてがそろわないと長くはプレーできません。

 50歳を過ぎると、今年もゴルフができる自分に感謝、という気持ちでいっぱいです。別に叩いても命は取られませんし、破産もしません。スコアなんか気にしているうちは、まだまだひよっこなんですかね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa