「女との約束は死んでも守る」ルパンが女にモテる理由。新「ルパン三世」16話

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30年ぶりのTVシリーズ』ルパン三世、16話「ルパン三世の休日」は、その名が表す通り、ルパンたちが盗みも殺しもしないというエピソード。というか、今回のシリーズではめったに盗みも殺しもしないけど!


イタリアの田舎町をのんびり愛車フィアットで走るルパン、次元、五エ門。3人のお目当ては港町で食べる久しぶりの寿司。ついでにルパンは港にいる不二子に頼まれた犬を届けるつもりだ。

物語としては本当にどうということはない。銭形警部がやってきてルパンを追いかけたり、フィアットがガス欠になったり、ルパンがトイレに行って銭形と出くわしたり、ルパンが次元のために買ったタバコがメンソールで次元に怒られたり、五エ門が散歩させていた犬を逃がしてしまってみんなで探したり……。

途中、五エ門が車のアクセルとブレーキの場所もわからないというシーンがあるが、TV第2シリーズでの五エ門は何度か車を運転しており、第55話「花吹雪 謎の五人衆(前編)」ではルパンのベンツSSKを運転するシーンがあったりする。まぁ、細かいことは言いっこなしだ。

ガス欠で動かなくなったフィアットを一人で押すルパン。もはや予約しておいた寿司のことは頭になく、不二子に犬を届ける約束を守るために必死である。

呆れる次元と五エ門に向かって、

「てめえらとの約束なんざ、どうでもいい! けどな! 女との約束は死んでも守る! それがルパン三世だ!」

という、身も蓋もないルパンのセリフがあるが、これぞまさしくルパンという人間の頭の中だろう。TV第1シリーズではカタブツの次元に向かって「女っていいものだぜ」と語りかけ、映画『ルパン三世 カリオストロの城』ではクラリスたちのカーチェイスに遭遇した際、次元に「どっちにつく?」と聞かれたルパンの「女ァ!」という返事から物語が動きはじめている。

一方、「てめえらとの約束なんざ、どうでもいい!」と言うルパンを、「しょうがねぇなぁ」とすぐさま受け入れて、腕まくりして一緒にフィアットを押そうとする次元も、まさしく次元らしい。まるで長年連れ添った夫婦のようでもある。

道中、次元が「仲良しクラブじゃないんだから」と言い、五エ門も「右に同じ」と賛同しているが、傍目から見たら十分仲良しクラブだ。

銭形警部の追跡を振り切って、ルパンは犬を不二子に届けることに成功するが、結局、犬が飼い主を嫌って逃げ出してしまうというオチ。エンディングは、なんとアイリスアウト(画面の一点に向かって画面が黒くなっていく技法)だった。なんて昭和な。

ネットの声は、
「ルパン三世まさかの日常回」
「この3人はほんと仲良いな」
「ギャグも丁度良くて、いつも以上に肩の力を抜いて楽しめた」
「今回は牧歌的な雰囲気が良かった」
と、概ね好評のようだった。

(小見出し)

盗みと殺しがなくても『ルパン三世』は成立する



ルパンが盗みをしないというのが新『ルパン三世』の特徴だが、今回もガソリンをもらうときは律儀に代金を支払っているし、タバコだってちゃんと買っている(ように見える)。

ルパンたちは写っていないところで盗みをはたらいているのかもしれないが、少なくとも製作者側はルパンたちの盗みを描こうとしていないことは明らかだ。

じゃ、何が物語の軸になるのかというと、主役たるルパンの美意識であり、価値観である。物語の中に大きな敵が登場しなくても、「女との約束は死んでも守る」というルパンの信念がズバッと話の軸になっているから、なんでもない日常回でも『ルパン三世』たり得ているのだろう。

それはそうとして、かつてタレントの西村知美が「理想のタイプはルパン三世」と公言していたが(その後、CHA-CHAの西尾拓美と結婚)、やっぱり男友達をさておいても、女との約束を最優先するからルパンは女性にモテるのだろうか? そういえば、ルパンは次元と五エ門以外の男友達がいなさそうだ……。

脚本は「魔法使いの左手」「恋煩いのブタ」の吉田恵里香。どちらも女性が主体の話だったが、今回もある意味「ルパンと女」の話だった。「魔法使いの左手」「殺し屋たちの鎮魂歌」に続いて、作画監督の坂巻貞彦が原画を一人で担当している。坂巻はTV第2シリーズの多くのエピソードで原画を担当したベテランだ。

さて、今夜放送の第17話は打って変わってハードな雰囲気の「皆殺しのマリオネット」。ルパン一家の4人が限定空間でお互い殺し合うデス・ゲームを繰り広げる……って、なんか流行りっぽい感じ? チャンネルは決まったぜ。
(大山くまお)