原さんと田嶋さんのどちらが会長になっても注目したいのは…

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大きな一歩だと思う。1月31日、日本サッカー協会が新しい制度での会長選挙を初めて行なう。

これまで会長は、数人の幹部が推薦した候補を理事会が承認、評議員が追認する形で決められていた。いわば“密室”選挙で、選考基準も過程も不透明だった。

ところが、FIFA(国際サッカー連盟)からそのやり方に問題があるとの指摘を受け、公開の選挙で会長を決める仕組みが導入されたわけだ。

選挙はJリーグ各クラブや各都道府県協会などの代表が務める評議員75人によって投票が行なわれる。こうしたトップ人事のオープンな選考は国内のスポーツ統括団体では初めてだそうだ。歓迎すべき変化なのは間違いない。

ただ、本稿締め切り時点で立候補しているのは、原博実(ひろみ)専務理事(57歳)と田嶋幸三(たしまこうぞう)副会長兼FIFA理事(58歳)のふたりだけ。ともに日本代表を統括する技術委員長を経験しているけど、ある意味、現職の大仁邦彌(だいにくにや)会長の“次”に向けて“順番待ち”していた人たちだけに立候補は予想通り。新鮮味やインパクトに欠ける。

「何かが変わるかも」という期待感を持ちにくい。せっかく公開の選挙をやるのだから、投票権のないファンに向けても、ふたりでサッカー番組に出演してマニフェストを発表するとかすればいいのに、そうした発想もないようだ。そこはちょっと残念だね。

また、もっとフレッシュな人物にもチャレンジしてほしかった。結果的に落選となっても、これまでの協会の在り方に一石を投じられるはず。さすがに今回は無理だとしても、将来的にはヒデ(中田英寿)や澤(穂希・ほまれ)のような若い人が出てくれると面白くなる。

すでに原さんと田嶋さんは評議員や理事の前でプレゼンを実施。Jリーグのシーズン制問題をはじめ、各世代の育成・強化など様々な面で考え方、基本方針の違いがあるようだ。

でも、当然ながら「日本代表を強くしたい」という目標は同じなわけで、そのための改革を断行できるのであれば、僕はどちらが会長になってもいいと思っている。

その僕が一番に求める改革というのは、Jリーグを協会の管轄下に置いてコントロールするということ。日本サッカーのトップである日本代表の強化のために、協会がJリーグの年間スケジュールを組めるかどうか。各クラブが代表強化に協力できる環境を整えられるかどうか。田嶋さんの主張する「シーズン秋春制への移行」も、それを念頭に置いたもののはず。

ここ数年はA代表に限らず、育成世代でも過密日程を理由に選手を代表に出せない、出したくないというケースが増えている。例えば、A代表は昨年6月のコパ・アメリカ(南米選手権)に招待されたのに、Jリーグのカレンダーを調整できないなどの理由で参加を辞退している。U−23代表にしてもJリーグの試合優先でリオ五輪最終予選の直前合宿まで呼びたい選手をすべて呼べなかった。

Jリーグは代表を強くしようという理念のもとに立ち上げられたもの。ところが、2シーズン制の復活、チーム数の増加など、最近は代表強化の足を引っ張ることもある。これは大きな問題だよ。

原さんと田嶋さんのどちらが会長になっても、そこに本気で切り込めるかに注目したいね。

(構成/渡辺達也)