少子高齢化は日本だけの問題ではない。韓国も同様の問題に直面しており、むしろ韓国は日本より深刻な状況となっているようだ。中国メディアの新華網はこのほど、証券会社がまとめた報告を紹介、同報告では少子高齢化問題が韓国にとって「これまで経験したことのない厳しい兆戦」となる可能性があると指摘している。

 記事は、報告がまとめた具体的な数字として、韓国の総人口に占める40歳以下の人口の割合は、1995年は69.4%だったが2015年には48.1%にまで低下したことを紹介。さらに2050年には32%まで低下すると予測されていることを伝えた。これは寿命が伸びているだけでなく、新生児の出生率が減少傾向にあることも関係している。

 また総人口に占める65歳以上の人口の割合は現在7%だが、18年には14%、2026年には20%にまで上昇すると予測されている。記事は韓国の少子高齢化問題が日本より深刻といえる理由が、まさにこの年齢層の違いにあると指摘している。

 日本の場合は退職後も多くの人が何らかの仕事に就くケースが多い。それゆえに「積極的な消費者」として経済成長に貢献することができる。少子化には対処できないとしても、高齢化という点では経済にマイナスの影響を与えないばかりか、貢献する力があるということだ。

 対照的に韓国の場合、38.5%もの家計が老後の生活を支える収入源がないという。明らかに老後の準備が不足している。老後の収入源がある場合でも77.6%もの家計が国民年金だけに頼る状況だと説明しているが、これでは「積極的な消費者」として経済成長に貢献することは難しい。

 韓国では子どもを育てるために資産を注ぎ込む親が老後の準備ができないまま退職、新しい仕事を探しても見つからず、やむなく自営業を始める人が増えている。証券会社の報告は退職後も働ける環境を整備するよう韓国政府に提案したうえで、韓国の人びとが「老後の生活に備える意識」を向上させる必要があると訴えている。

 少子高齢化問題を「少子化」と「高齢化」という別々の観点でみたとき、確かに韓国の「高齢化」における状況は日本より深刻であり「これまで経験したことのない厳しい兆戦」となりえることがわかる。飛行機は片方のエンジンが停止しても即座に墜落することはないが、推進力がゼロなら結果は明白だ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)