都会では手に入れることができなかった“新しい生活”を地方で実現する。結婚、出産、育児しながら仕事を続けることも、地域の人たちの力を借りてつかみ取ってきた“移住女子”たち。今回、そんな先輩の移住生活のあれこれを知るために、新人さんが素朴な疑問を投げかけました。

集まってもらったのは、’15年夏に、新潟県の十日町市で本格移住をスタートさせた“新人”移住女子の渡邉紗綾子さん(30)。同市に暮らす移住女子の先輩、福島美佳さん(29)と多田美紀さん(37)の3人。

渡邉「移住してみてカルチャーショックはありませんでしたか?私は集落の名字とは別にある『屋号』に驚きました。昔の風習で、『となり』という屋号だけで、誰だかわかるんです。初めは『誰のお隣さん?』って。屋号って歌舞伎の世界だけだと思っていたのでびっくり」

福島「各集落には『隠居』という屋号の人もいるよね。あとお米を干す場所だった『干場』っていうのも」

渡邉「あと、どこに行くのも車ですね。300メートルでも車で移動。集落を歩いていると拾われますね」

福島「豪雪地帯だからなおさら。拾ってあげたくなる気持ちがわかる」

多田「私たちの住む池谷集落は坂が多いので、ゴミ捨てに行くのもいつも車で行くよ」

渡邉「ええ!?本当ですか?」

福島「集落は坂がきついからね。移住で忘れちゃいけないのが地域の人の協力。それなしには生きられないです」

渡邉「はい。雪に慣れていない私に雪かきの仕方を教えてくださったりもします」

多田「移住したばかりのころ、仕事も子育ても忙しいときに、村の人が『子供を見といてあげる』って。おばあちゃんたちがいてうれしかった」

渡邉「あと、働いた代わりにお金でなく食べ物やいろいろなものを頂いたりする。ある意味物々交換にも最初は驚きましたね」

福島「私はもらうばっかりになるので、代わりにパソコンを教えてあげています」

多田「家の前に、ご近所さんが野菜を置いてくれるでしょう?まるで笠地蔵状態で(笑)。みんな気にかけてくれますよね。今抱いているこの子は、移住してこなければ存在していなかったかも。都会で夫と私だけでは子供3人はありえなかったと思う」

福島「みんな“荒野を進み”歩いている。自分らしく生きる手段が『移住』だと思う」

渡邉「移住女子の先輩は人生の開拓者のよう。これからもよろしくお願いします」