赤ちゃんは、大人には見えないものを見て笑っている

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生後3か月から4か月の乳児にだけ見えるが、5か月以降になると見えなくなる特別な世界があることが中央大と日本女子大、東京大の共同研究でわかった。世界で初めての発見だという。

米科学誌「カレント・バイオロジー」(電子版)の2015年12月3日号に発表された。

大人が気づかない点まで、赤ちゃんは全部見ている

赤ちゃんは、よく何もない天井をじっと見たり、部屋の隅を見てケタケタ笑ったりすることがあるが、大人には見えない何かが見えているらしい。

研究チームによると、大人は物体を見る時、しっかり形を認識できるように、見る角度や照明が多少変わっても、細かな変化を無視する能力が備わっている。たとえば、部屋のテーブルに光沢のあるヤカンを置く。照明の角度や明るさを細かくずらしても、大人は、照明がヤカンの表面に映り込む微妙な変化に気づきにくい。脳が、物体(ヤカン)を大づかみに把握するからで、細部にこだわっては「ヤカンである」と認識できないからだ。

ところが、細部を捨て去る能力がまだない乳児は、視界に入ってきたものすべてを見る。その境がいつから始まるか調べるために、生後3か月から8か月の乳児42人を対象に実験した。

実験は「選考注視法」を使った。乳児は顔(円形)など特定の図形を好んで長く見る。これを利用して、画像が点滅するモニターを使い、乳児が微妙な変化に気づくかどうかチェックした。すると、4か月までは照明の微妙な変化に気づくが、5か月を過ぎると、大人同様に気づかなくなることがわかった。

研究チームリーダーの山口真美・中央大教授は「赤ちゃんは、大人が思う以上に、変化に富んだ不思議な世界を見ています。照明による物の視覚的変化に反応できることがわかりました。子育てのための部屋やおもちゃのデザインに生かせる可能性があります」とコメントしている。