悔やんでいるシーンがある。準々決勝イラン戦。延長戦に入って3点を奪ったU-23日本代表は攻撃の手を緩めず、試合終盤にはFW浅野拓磨(広島)に好機が訪れる。右サイドでボールを受けた浅野はPA内までボールを運んだ。3点をリードしている状況、自身には今大会ゴールがないこともあり、当然シュートを放つと思われたが、選択したのはパス。しかも、そのパスはチームメイトに届くことはなかった――。

「試合が終わってからも一番後悔が残ったシーン」。浅野の脳裏には、あの場面が蘇る。「ゴールにならなくてもシュートで終わっていれば」とシュートを選択しなかったことを後悔し、パスを選択したのならば「ゴールまでつながらないと」と悔しさを滲ませる。

 今予選3試合に出場しながらも無得点。チームはここまで8選手で10得点を記録して、準決勝まで勝ち上がってきた。DFの植田直通(鹿島)やボランチのMF大島僚太(川崎F)、MF井手口陽介(G大阪)もゴールを記録しており、FWとして焦りが生まれてもおかしくない状況だが、「それはないです」とキッパリ。「いろいろな選手がゴールを取ることは刺激になります。僕も皆についていけるようにゴールしたい」とチームの良い流れに何とか乗ろうとしている。

 悔しい場面があった次の試合でこそ結果を残す――。浅野は昨シーズンのある場面を思い出していた。15年12月2日、G大阪とのチャンピオンシップ第1戦、2-2で迎えた後半アディショナルタイム。FWドウグラスのシュートのこぼれ球に反応した浅野は決定機を迎えたものの、右足で放った渾身のシュートはDF丹羽大輝にブロックされてしまう。そのこぼれ球をMF柏好文が蹴り込み、結果的にチームは初戦をものにした。チームの勝利に喜びを表す一方で、「自分で決めたかった」と唇を噛んでいた。

 しかし、その悔しい気持ちを3日後のチャンピンシップ第2戦につなげる。0-1で迎えた後半31分、見事なヘディングシュートで同点ゴールを決めてチームを優勝へと導いた。「本当に悔しい気持ち、次に絶対取るという気持ちを持って臨んだ試合だったので、そこは僕らしいというか、何か『持っているな』と感じました」と白い歯を見せる。そして、現在の心境が「あのときと気持ちがちょっと似ている気がします」と明かしたように、悔しい気持ちを持って臨む次戦でのゴールの予感は高まっているようだ。

 イラク戦に勝利すれば決勝進出だけでなく、リオ五輪出場も決まる。大一番に向けて、「自分は今までも『持っている』と思うことがありました。ここまで仕事ができなかった分、イラク戦で大事なゴールを決めたい」と自らのゴールでリオへの道を切り開くと意気込んだ。

(取材・文 折戸岳彦)


●AFC U-23選手権2016特集