経営本部副本部長の橘俊郎氏

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 ケイ・オプティコムは25日、「MVNO市場の現状とmineoの今後の取り組み」というテーマで事業戦略説明会を実施。携帯電話サービス「mineo」の新たなブランドステートメント「Fun with Fans!」を発表した。

■mineoの契約数は1年半で約19万件に

 会場では冒頭に経営本部副本部長の橘俊郎氏から、会社の概要について説明があった。ここで強調されていたのは、ケイ・オプティコムのFTTHサービス「eo光」が、NTT西日本と互角のシェア競争を繰り広げていること。15年12月末時点での全加入者は157万件。特に、滋賀県においてはシェア数でNTT西日本を上回っている。

 一方でMVNOサービス「mineo」においては、NTTドコモとauのマルチキャリア対応後に契約数が急増し、16年1月22日時点で約19万件に達した。ただ、今後の展開については、業界でのさらなる競争の激化を感じているという。

「昨年末に総務省のタスクフォースにおいて、MNO(キャリア)の低容量化、低価格化という軸が打ち出されました。依然として価格差はあるものの、脅威であることは間違いありません。さらに、MVNOについても新たな事業者が参入して、これからは淘汰の時代になってくる。そのなかで、本事業では差別化のために、新たな競争の軸を据えていきたい」(橘氏)

■“楽天”や“イオン”に負けない認知度に

 その後、会場ではモバイル事業戦略グループ グループマネージャーの津田和佳氏から、mineoの現状について、より詳しい説明があった。そのうえで、ケイ・オプティコムではMVMO市場を、今後も拡大傾向にあると捉えているという。2019年度末の契約数で2,000万規模までの成長も視野に入れているとのことだ。

 そこで重要となるのが、従来のようなリテラシーの高い層ではなく、マジョリティ層の利用を増やすこと。ポイントは“流行ってきている”や“聞いたことがある”といった認知度にあるという。

「弊社で行ったアンケートでは、楽天モバイルやイオンモバイルの認知度が圧倒的に高いのに驚かされました。認知度の向上にはメガキャリア並の体力勝負が必要ですが、そのなかで選ばれる事業者となることが重要です」(津田氏)

 なお、同社の調べではMVNO自体の認知度は75%まで向上しているという。しかし、そのうえで契約にたどり着くまでのハードルになっているのが、導入を検討するユーザーが16%と低調な現状だ。

「こうした加入障壁で大きな原因となっているのが、2年縛りや家族間でのキャリアの統一です。“面倒くさい”や“サポートが不安”、“本当に安いかわからない”といった心理的なものもあるので、これらの払しょくが今後の課題となります」(津田氏)

 その点ではMVMOの促進に一役を担うといわれる「SIMロック解除」だが、これについては対応端末が未だに少ないというのが実感だという。auとソフトバンクでは契約から6か月が経過しないと利用できないので、今年春以降に徐々に浸透していくのではという見通しだ。

 一方で、橘氏の話にもあった、総務省のタスクフォースの話についてだが、これはMVNOにとって追い風ととらえている面もあるという。

「ライトユーザー向けの料金値下げにはヒヤヒヤしていましたが、今のところは想像していたような大きな値下げはありません。むしろ、販売奨励金の件で端末を長く使い続ける人が増えると予想されるので、そのままSIMカードだけ入れ替えて使い続けられることをアピールしていきたいです」(津田氏)

■ユーザーが一緒に“mineoを作る”という体験

 こうした状況を踏まえ、mineoの新たな事業戦略の軸となるのが「Fun with Fans!」だという。安さ、サポートの充実による競争を続けるなかで、ユーザーが“楽しい”と感じる体験を提供。その核となるのが、2015年1月にオープンしたコミュニティサイト「マイネ王」だ。

 「マイネ王」は現在の会員数が約1万9,000人。記事の投稿数は1日25件におよび、月間170万PVまで成長した。コンテンツは全部で4つあるが、そのなかで注目なのが、mineoのスタッフが自ら記事を投稿する「王国通信」だ。

「以前にはiPhoneのプロファイル更新情報を記事化したことがありましたが、そのなかでユーザーの成功例や失敗例がレポートのようにコメントされました。こうした情報はmineoにとっても有益となり、サービス改変のために役立っています」(津田氏)

 津田氏によると、実際にマイネ王でユーザーと対話することで生まれてきたサービスもあるという。通信容量節約アプリ「mineo スイッチ」、ユーザー間で容量を贈りあう「パケットギフト」、より低用量な500MBコースなどがそれだ。ほかにも、手数料の撤廃や速度改善なども、ユーザーの声から実現したものだという。

 なかでも、直近での成功例として挙げられていたのが、「フリータンク」と「チップ」だ。フリータンクではユーザーが余ったパケット容量を、共有の“タンク”と呼ばれる領域に貯蔵。貯蔵した容量は月に1GBまで、引き出して利用できる。一方、チップはマイネ王で役に立ったアイディアを提供された際に、感謝の気持ちをパケット容量を贈って表すものだ。

「マイネ王を通じてパケットや情報が楽しく行き来する環境を作ること。そのうえで一緒にmineoを作っていくという体験を楽しんでもらいながら、コアなユーザーを増やしていきたい。それがmineoを選ぶうえでの魅力となればいいと考えています」(津田氏)

 このような「共感」の上に成り立つマーケティングは、効果が得られるまでに時間がかかる。しかし、FTTHを振り返ると市場形成時のシェアがそのまま継続している現状があるため、ここ1、2年の間にトップシェアに食い込むことが大事になるという。

「安さや品質に投資する一方で、マジョリティ層を取り込むためにはマスマーケティングが必要になる。しかし、我々にはキャリア並みには、広告やキャンペーンに予算をかけられません。そのなかで、楽しいという価値を提供し、体験を楽しんでもらおうというのが『Fun with Fans!』という戦略です」(津田氏)

 同社の推計ではOCNやIIJなどのトップシェアが10%。そこにU-mobileや楽天モバイルなどが続き、mineoはそのさらに下にあると分析しながらも、mineoでは安さや品質といった基準ではない、独自の新たな視点によって顧客獲得を目指していくという。